大空翼、坂本轍平、神谷蒼……人気サッカー漫画の主人公、年俸はどのくらい? 実在のサッカー選手から考察

  ラグビー界最大のビッグイベント、ラグビーワールドカップが南アフリカ共和国の優勝で幕を閉じた。これで南アフリカは単独最多4回目の優勝になり、準優勝に甘んじたニュージーランドは最多タイから単独2位の優勝回数となった。

  4年前には日本がホスト国となったラグビーワールドカップだが、一説には夏季オリンピック、FIFAワールドカップ(サッカー)、ツール・ド・フランス(自転車競技)に次ぐ、4番目に大きなスポーツの国際大会であると言われている。

  大手国際会計事務所、アーンスト・アンド・ヤング(EY)の報告書によると、ラグビーワールドカップ日本大会の経済効果は、6464億円に及んだそうだ。

 実のところ、スポーツとカネは古代から切っても切れない関係だった。

  近代オリンピックは、19世紀末にピエール・ド・クーベルタン男爵の主導でアマチュアの大会として始まったが、1980年代に当時IOCの会長だったフアン・アントニオ・サマランチ氏のもとプロ選手の参加が解禁され、華やかな商業的イベントへと生まれ変わった。

  1984年のロサンゼルスオリンピックは赤字続きのイベントだったオリンピックが黒字転換した画期的な大会で、大会組織委員長をつとめたピーター・ユベロス氏はのちに、世界最大のプロ野球リーグ、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)のコミッショナーに就任している。

  オリンピックの商業主義は時に批判されることもあるが、実のところ、ルーツとなった古代ギリシャのスポーツイベントはカネありきの大会が大半だった。当時、各地のスポーツ大会を連戦して賞金・商品で生計を立てるプロ選手がいたほどである。古代オリンピックは賞金・商品こそ出なかったものの、オリンピックでの勝利は選手にとって最高の栄誉であり、オリンピック優勝で得られる名声は選手に富をもたらしたとの記録が残っている。

  興味のある方はトニー・ペロテット(著)『驚異の古代オリンピック』をご参照いただきたい。

 わが国で特に稼げる競技は野球(プロ野球の平均年俸=約4500万円)とサッカー(サッカーの一部リーグ・J1の平均年俸=約3000万円)の二つである。

  野球とサッカーは頻繁にスポーツ漫画の題材になるが、漫画の劇中で選手の年俸が明らかになることはほとんどない。今回は、サッカー漫画の主人公はどのぐらいの年俸を稼いでいるのか、実在のサッカー選手と比較して推定を試みてみよう。

■坂本轍平『ファンタジスタ』年俸18億円程度

  サッカー漫画の題材は高校サッカーなどのアマチュアが多いが、もちろんプロ選手、それも本場ヨーロッパの最高峰でプレーする選手が主人公の場合もある。

  本格派サッカー漫画『ファンタジスタ』と続編『ファンタジスタ ステラ』の主人公・坂本轍平(てっぺい)はイタリアの名門・ACミランの育成組織からトップチームに昇格し、アーセナル(イングランド)→レアル・マドリード(スペイン)と更なるビッグクラブへ華麗なステップアップを果たしている。(※後ろ2チームについては劇中では本物をもじった名前に変更されているが、ここではリアルなクラブ名で表記する)

  現実世界の日本人選手では、冨安健洋(アーセナルFC)、遠藤航(リヴァプールFC)がビッグクラブへのステップアップを果たしているが、この2人はレギュラーではなく、またてっぺいのようなオフェンシブな選手でもない。

 サッカー選手の年俸をポジション別に見ると、オフェンシブな選手ほど年俸が高い。仮にまだ若い冨安がレアル・マドリードに加入してレギュラーを獲得してもてっぺいほどの年俸は稼げないだろう。今後可能性がありそうなのは、レアル・マドリードが買い戻しオプションを保有している久保建英(レアル・ソシエダ)だろうか。中盤の攻撃的な選手であり、2001年生まれでまだ22歳と若い。今後は可能性があるかもしれない。

 残念ながら現時点で、てっぺいと比較対象するべき選手は日本には見当たらない。
 少々おおげさかもしれないが、経歴※、年齢、活躍した年代などを考慮するとクリスティアーノ・ロナウドとの比較が適当そうである。
※経歴=実績については説明するまでもないと思うが、スポーツ選手は1歳でも若いほうがより価値が高く、プロリーグの経済規模は年代によって差が出るため考慮が必要である。

  セカンドトップを本職とし、センターフォワード、サイドハーフ、トップ下としてもプレーできるてっぺいとウィング、センターフォワードがメインのロナウドでは単純比較できないが、同じく点を取ることを期待されるポジションのプレーヤーで性質的にはまあ近い。

  2002年時てっぺいは高校1年生、マドリード加入が2010年なのでてっぺいは加入当時、24歳。ロナウドのマドリード加入はその前年の2009年で、加入当時24歳。イングリッシュ・プレミアリーグのビッグクラブ(マンチェスター・ユナイテッドFC)から加入した経歴、プロとしての経験年数も同程度なので、レアル加入当時のロナウドとてっぺいは同程度の評価だったのではと考えられる。レアル移籍当初のロナウドが年俸18億円程度だったと推定されているので、てっぺいも同じ程度は稼いでいたのではないだろうか。

■大空翼『キャプテン翼』約18億円

  では、日本一有名な架空のサッカー選手であろう、『キャプテン翼』シリーズの大空翼はどうだろうか?

  翼はトップ下を本職とするオフェンシブプレーヤーで、ブラジルの名門クラブ・サンパウロFCから世界的ビッグクラブFCバルセロナに移籍。移籍した『キャプテン翼 -ROAD TO 2002-』時点で20歳だった。

  ブラジルのクラブから若手のうちにビッグクラブに移籍して成功した選手はかなりの例が存在するが、年代は2000年ごろで、20代前半でブラジルのクラブから直接バルセロナに移籍して成功した選手は残念ながらピッタリあてはまる例が見つからなかった。年代に10年ほど開きがあるのが気になるが、経歴と年齢を考えるとネイマールが比較的近いと言えそうだ、

  ブラジル代表の最多得点記録を持つネイマールはブラジルのサントスFCでプロデビューし、2013年に21歳でバルセロナと契約。ネイマールはウィンガー、または中盤の攻撃的なポジションの選手なので、トップ下がメインの翼とプレースタイルが完全に一致するわけではないが、オフェンシブな選手であることに変わりはない。

  プロとしてのキャリアの長さ、実績、年齢を考えると翼の年俸はバルセロナ移籍当初のネイマールに近いのではないだろうか。

  バルセロナ加入当初のネイマールの年俸は約18億円とのことだった。サッカー選手の年俸は年々増加傾向にあるので、年代を考えると翼はもう少し下だろう。ヨーロッパサッカーはスペイン、イングランド、ドイツ、イタリアの一部リーグで俗にいう4大リーグを構成している。

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