『東京リベンジャーズ』随一の頭脳派“ココ”こと九井一はなぜ魅力的? 涙なしには語れない苦悩と決意を解説

幼馴染との決別、それでも「マブ」を想う優しさを持つ

 ココは欲されるがままに金を作り続け、「天竺編」では遂に幼馴染と決別する。長い時間、苦楽を共にしたイヌピーとの別れ。あの時火事が起こらなければこうなることはなかったのに! と誰もが思ってしまうほど、2人は運命に狂わされた。

 事態が複雑化し、心が耐えられなくなると人は歪みやすい。けれどもココは常に心の奥底で冷静さを保ち、“狂人”にならぬよう自制しているように見える。目的のために振り返らず、様々な気持ちを抱えながらも自身を納得させてしまうため、ある意味最も真面目なキャラと言えようか。

 性根は決して腐っていないので、この要素が彼の心をより痛めているのだが……。自分のことをさておいてまで幼馴染を気遣う優しさを持つイイ男、それが九井一の素晴らしい部分である。

赤音の残像を追い続けるココを涙なしでは見られない

 赤音への救いと後悔の念がココをより苦しめる。もしかすると赤音の残像を追い続けることで自分を戒めているのかもしれない。

 『東リベ』の敵キャラクターには誰かへの恨み(時に私怨)を抱く人物が多いが、あくまでココの根っこにあるのは“恋心”と“後悔”。自分自身への恨みが強く、行き場のない感情が激しい苦悩へと繋がっている。

 イヌピーとココの関係性や過去の出来事が、深く心に刻まれている読者は多い。特に天竺編での幼馴染の掛け合いは、こちらの心にグッと訴えかける重みがあるからだ。常に後ろめたさを抱えながらも振り返らない、そんな彼を見ているだけでホロリと涙がこぼれてしまうだろう。

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