『東京リベンジャーズ』随一の頭脳派“ココ”こと九井一はなぜ魅力的? 涙なしには語れない苦悩と決意を解説

 腕っぷしの強い武闘派か、頭のキレる頭脳派か――。『東京卍リベンジャーズ』にはざっくりと2種類の不良が登場し、各々の強み、個性を発揮している。「聖夜決戦編」にて登場したココこと九井一(ここのい・はじめ)は、作中でも頭脳派の不良として活躍。稀咲鉄太とはまた異なるタイプだが、計画的かつ読みの鋭さは登場人物の中でもトップクラスだ。

 なぜ彼は幼馴染のイヌピーこと乾青宗と決別してまでも歩みを止めないのか。その理由は、ココが常に複雑な葛藤と戦い続け、孤独の道を振り返らずに進むからである。

不良の中でも頭脳派!九井一は組織を作る上で欠かせない男

 十代目黒龍で親衛隊を務めたココだが、頭脳派でも決して喧嘩が弱いわけではない。グイグイと前には出ず、後ろからそっと周囲を見渡すのが彼のやり方である。

 とにかく頭が働き、金を作る方法を導き出す。チームを発展させる上で資金力は欠かせないため、ココのような人物は不良界隈で重宝される。それがゆえに柴大寿のみならず、極悪の世代メンバーとも以前から繋がりを持っていた。

 組織は武闘派だけではやっていけない。また、喧嘩が強いだけでも人はついてこないものだ。だからこそ頭がキレる人物は必要不可欠な存在で、おまけに資金調達も得意となれば引く手あまたなのも頷けるだろう。

金を作る天才への道は、決して望んだものではない

 当の本人は、あちこちから声を掛けられる件について快く思っていない。なぜなら「金を作る天才」は彼が心から望んだ姿ではなく、イヌピーの姉・赤音を救うためだったからだ。

 彼女の治療費4000万円をかき集めるために、激しい苦悩と葛藤の末にいばらの道を選んだ。目の前に立ちはだかる膨大な金額と、生と死の問題。まだ幼いココには重すぎる現実だが、約束を守るために断腸の思いで決断を下す。大人でも逃げ出したくなるような事態から目を背けず、覚悟を決めた彼からは非常に強い思いが伺える。

 もともと不良ではなかったため、闇へと進みゆくことに抵抗を感じたはずだろう。犯罪に手を染め、知恵を絞ったのは全ての彼女のため。赤音とまた笑い合える日々を夢見て、ココはなりふり構わず動き続けたのだ。

 だが真っすぐな性格が災いし、赤音の死を知った時には引き返せないところまで進んでいた。純粋な心が自分で自分の首を絞める結果となり、九井一という男は過去に呪われて酷く苦しむ。ココが抱える感情は万人に理解できるものではない。必死にもがき、「これでいいのだ」と自分に言い聞かせる彼を見ているとひどく心が痛んでしまうだろう。

 金を作る才能を磨き、悪を極めるその姿からは一種の現実逃避のようなものを感じる。物事を正面から見つめてしまうと、全てを受け入れねばならないのが厳しい現実。ココはずっと複雑な気持ちと戦い続け、孤独を極めていく……。

関連記事