『東京リベンジャーズ』悪役なのに憎めない、「灰谷兄弟」が絶大な人気を誇るワケ

 どのキャラクターが単行本の表紙を飾っても絵になるほど、人気者が多い『東京卍リベンジャーズ』。なかでも登場機会の意外な少なさと比較して大きな存在感を示しているのが灰谷兄弟だ。徹底的にサブポジションを貫いているにもかかわらず、公式が行った人気投票では兄弟そろって10位以内にランクインするなど、読者のハートをガッチリと射止めている。

 兄・灰谷蘭と弟・竜胆がここまでの人気を誇る理由は、一体どこにあるのだろうか。本校では筆者なりの考察をお届けするが、原作のネタバレを含むため、アニメ派のファンはご注意いただきたい。

※以下、『東京卍リベンジャーズ』のネタバレを含ます。

出番が少なくても大人気、それが灰谷兄弟

 先ほどもお伝えした通り、灰谷兄弟はとにかく出番が少ない。初登場は実写映画第2弾でもフォーカスされた「血のハロウィン編」だが、あくまで“観客”として現場に訪れただけ。ほとんど言葉を発することなく数カットで退場したせいか、その後の活躍ぶりに驚いた読者も多いとか。

 「血ハロ」が終わり、現在アニメが放送中の「天竺編」でようやく再登場したものの、あくまで物語はイザナとマイキーがメイン。この回で謎のベールを脱いだように見えた灰谷兄弟だが、よくよく考えるとさわり程度の紹介のみで、“ベールを脱ぎ切っていない”という表現が妥当だろう。

 物語の終盤に差し掛かると六波羅単代や関東卍會にもかかわるものの、決してメインキャラ同様の扱いにはならない。まさにサブ中のサブ的な動きだが、人気を誇る理由の一つに2人の異様な空気感にある。

 見た目が派手なだけではなく、兄弟だけデザインやカラーが異なる特攻服を着ているなどとにかく主張が大きい。気づくと目を惹かれてしまうような存在感が、きっと読者の興味を誘うのだろう。

 どこにいても目立つのが蘭と竜胆。例え出番が少なかろうと一回のインパクトが大きければ、高い人気を集めるのも頷ける。

底が知れない灰谷蘭にノックアウトされる読者たち

 モデルのようなスタイルを持ち、ロングヘアがトレードマークの蘭。ミステリアスで近寄り難いオーラを纏い、カリスマという言葉がよく似合う出で立ちだ。ノリは非常に軽く、掴みどころがない性格をしている。

 六本木を纏め上げる実力者である点は紛れもない事実であり、弟に「すぐ仕切る」と指摘を受けるくらいなので、人の上に立つのを好むタイプだとは思うが……。硬派な不良界隈の中では良くも悪くもユルっとしたフリーダムさがある。

 六本木の部下キャラが作中で登場しないため、どのように慕われているのか、そしてどのような手法で街全体を統一するのかは全く不明である。ただ、このラフな感じは灰谷蘭だからこそ出せる独特の空気。イザナや柴大寿のような絶対的王者とはまた異なる、味わい深い異質さではないだろうか。

 ちゃらんぽらんで適当そうだが〆るところはきちんと〆ているため、もしかすると敢えて適当そうに見せているだけなのかもしれない。いずれにしても、蘭は計り知れない実力で常に頂点に立ち続ける。頭の中が読めず、底が知れない強さを持つからこそ人々は彼に魅了されるのだろう。

適当そうに見える陰の苦労人、竜胆を応援する声多し

 蘭と同様、これまた適当そうな弟の竜胆。ノリの軽さは兄弟共通であり、2人で常にじゃれ合っているだけに見えるが実は立派な苦労人だ。物語の要所要所で兄に対して毒づいているので、弟ながらに思うことは色々とあるのだろう。

 あくまで憶測でしかないが、自由な兄が散らかした後を竜胆が懸命に片づけているのかもしれない。六本木にはチームが存在しないため、恐らく蘭が総長で竜胆が副総長のポジションを担うはず。何だかんだ文句を言いつつも、そっと身内をサポートする姿勢は流石だ。

 竜胆自身も相当な実力を持ち、横浜天竺では四天王として君臨。六波羅単代では第参席に、関東卍會では特攻隊の副長を務めるなど、他の不良たちに引けを取らないパワフルさを見せつけた。

 作中では彼に対し、深く掘り下げられてはいない。謎が多く、読者が興味津々を激しく示すなか、公式のキャラクター名鑑『REMEMBER YOU!』では衝撃の事実が明かされる。

「苦手な人、怖い人→兄貴」

 ……この記述を見れば、もう何も言うまい。綺麗な言葉でまとめれば縁の下の力持ち、言い換えれば完全なる苦労人。極悪の世代とまで呼ばれたメンバーながら、人間らしい一面を覗かせる竜胆には応援(同情?)の声が多数寄せられている。

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