子安武人・光樹の親子共演でも話題! 『暴食のベルセルク』が描く、苦悩しながら生きる意味
たとえ途中で破滅するとしても、どこまで強くなれるのかに挑む人生は悪くない。正体を明かして並び立つことができなくても、その力で敬愛する人を陰ながら守れるのはとても嬉しい。『暴食のベルセルク』が累計で150万部という人気作品になっているのも、フェイトがただ強くなっていくだけでなく、自分の運命を賭けているところに憧れを覚えるからなのかもしれない。
強くなれたことで、いろいろな出会いも得られた。例えばマイン。フェイトが《暴食》の大罪スキルの持ち主なら、《憤怒》の大罪スキルを持ち、スロースという名の斧を振り回して戦う少女で、ある目的のためにフェイトを旅の道連れにする。その目的が果たされたあとも、フェイトの旅に絡んでは大罪スキルであり大罪武器といったものの謎に迫る役割を果たしていく。あるいはエリス。こちらは《色欲》の大罪スキルの持ち主で、傍観者のような立場でフェイトの前に現れ、次第に関わりを深めていく
そしてアーロン。元聖騎士で、領地を魔物のリッチー・ロードに奪われ家族や臣下をアンデッドに変えられ手出しが出来ないまま、近くの村で暮らしていた彼は、急速に強くなってしまったため、技術や心が追いついていないフェイトを鍛えて、後の戦いで力を発揮できるようにする。アーロンはガリアという魔物が跋扈する地へと向かう途中のロキシーも鍛え上げる。通過点に現れた”村人A”では終わらない存在感がいつまた発揮されるかに興味が向かう。
ロキシーとの関係も気になるところだ。フェイトが《暴食》のスキルで大暴れする武人と分かっても、ロキシーは嫌悪感を抱かないでいられるのか。そんなロキシーを思いガリアへと赴きながらも、正体を明かせないままフェイトはどのように戦っていくのか。単行本では第3巻にあたるストーリーで繰り広げられる展開に注目だ。
何より相棒のグリードとの関係が、ちょっとしたバディ感を醸し出して楽しませてくれる。大罪武器のひとつとして、フェイトのスキル《暴食》と重なる能力のようなものを持っているグリードには何か思惑のようなものはあるのか。利用し合う関係から認め合う関係になっていくのか。気になるところだ。
そうしたものの答えを、いよいよガリアが舞台となるTVアニメで確かめるのも良し、小説やコミカライズを読んでもっと先まで知るのも良し。苦しみと引き換えにして強さを得ようとする主人公に触れて、簡単ではない人生をそれでも生きていく勇気を得よう。