『進撃の巨人』エレンは「鳥」に生まれ変わった? 自由をめぐる物語の結末が意味するもの

※本稿はアニメ「『進撃の巨人』The Final Season 完結編(後編)」の内容に触れています。ネタバレにご注意ください。

  TVアニメシリーズの最終回にあたる「『進撃の巨人』The Final Season 完結編(後編)」が放送されたことで、あらためて『進撃の巨人』の結末についての考察が盛り上がっている。そこでとりわけ多くの人が関心を寄せているのが、「エレンが鳥に生まれ変わった」という仮説だ。

  この仮説の根拠となるシーンは、原作でもアニメでも最終回で描かれている。「地鳴らし」を止めるための戦いから3年後、ミカサは丘の上の木に訪れ、エレンの墓に寄り添っていた。そこでミカサは昔の思い出がよみがえったようで、喪失感に涙を流しながら、「また、あなたに会いたい」という気持ちを口にする。

  しかしその瞬間、一羽の鳥がミカサのマフラーをついばみ、首元にかけるような動きを見せると、そのまま空へと羽ばたいていく。そしてミカサは鳥の方を見上げながらエレンの名前を呼び、「マフラーを巻いてくれてありがとう」と感謝を告げるのだった。

  このマフラーはミカサが幼い頃、エレンに命を救われた際に巻いてもらった大切なものであり、2人の絆を象徴するアイテムでもある。調査兵団の任務で2人に死が迫った際、エレンがミカサに「(マフラーを)何度でも巻いてやる」「これからもずっと」と力強く宣言していたことも印象深い。そうした背景があるからこそ、ミカサがマフラーを巻いてくれた鳥にエレンと呼びかけるラストシーンは感動的なのだ。

  他方でこのシーンには、いくつかの解釈の余地がある。1つはミカサが偶然マフラーを巻いてくれた鳥の姿を見て、エレンのことを思い出し、あらためて感謝を口にしたという可能性。もう1つは、この鳥を本当にエレンと同一視した可能性だ。

  エレンが鳥に生まれ変わったという説には、他にも根拠とされる描写が存在する。たとえばミカサにマフラーを巻いた鳥の種類はトウゾクカモメではないかと言われており、その英名は「ポマリン・イェーガー」で、エレンの名前と関連がある。

  ほかにも、「人類の夜明け」というエピソードでは、エレンの回想シーンが終わった直後、鳥が羽ばたいていくシーンへとシームレスにつながっており、エレンと鳥を同一視させるような演出となっていた。

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