『呪術廻戦』伏黒甚爾の無双っぷり!「特級術師レベル」ともいわれる「強さ」を考察

五条悟と同じ「アッチ側」の住人か?

  ただ、読者のあいだでは陀艮との戦闘について、ちょっとした“物言い”も付けられていた。伏黒恵が領域の必中効果を相殺したり、空中に飛ぼうとする陀艮を直毘人が足止めしたりと、他の術師が戦いをサポートする描写があったため、「1対1では陀艮を祓えていなかった」という意見があるのだ。

  しかし単行本22巻では、天与呪縛のフィジカルギフテッドについて、領域展開の術式必中効果が作用しないという設定が明かされていた。また戦闘描写からわかるように、甚爾はその身体能力によって空中で移動することもできる。領域展開も空中戦も弱点にならないとすれば、やはり1人でも陀艮を倒せていた可能性は高いのではないだろうか。

  また作中では実現しなかった戦いだが、「甚爾は特級呪霊・漏瑚と戦闘すれば勝ち目はない」という見方もある。それは漏瑚が高速で広範囲を燃焼させる能力を持つためだが、甚爾の耐久力と速度からすれば一概に相性が悪いとも言えないだろう。そもそも五条戦で見せていたように、知略を張り巡らせて戦うタイプなので、漏瑚を攻略していた可能性も十分あるように思える。

  まとめると、甚爾の戦闘力は特級呪霊を単独で討伐可能であり、特級術師とも十分に渡り合えるレベルと考えられるだろう。ただ、だからといって「特級術師と同格」と言えるかどうかは難しい部分がある。

  というのも特級術師になるための条件には、単純な戦闘能力だけでなく、「単独での国家転覆が可能であること」が含まれている。しかし甚爾の強さは純粋な身体能力に基づいてるため、タイマン勝負以外には不向き。そう考えると、「特級術師をも倒しうるジョーカー」という位置付けがやはり妥当だろうか。

  なお単行本16巻では、禪院直哉というキャラクターが興味深い証言を残していた。彼は禪院家の次期当主候補として、数々の実力者を見てきたはずだが、ほとんどの術師を眼中に入れていない。だが五条と甚爾だけは例外扱いで、「アッチ側」の人間として強い羨望を向けていたのだ。

  あくまで直哉による評価だが、見方によっては甚爾は現代最強の術師・五条に並び立つ存在と言えるのかもしれない。

©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

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