『進撃の巨人』最終回後にミカサとジャンは結婚した? アニメで追加された意味深な描写を考察

ジャンとミカサ、エレンの関係性

  そもそもジャンは、物語の序盤からミカサに強い好意を寄せていた。2人が初めて会ったのは訓練兵団に入団した日の夜。ジャンはたまたま目の前を通りかかったミカサを呼び止め、頬を染めながら「とても綺麗な黒髪だ……」と声をかけた。そしてその直後、エレンと仲睦まじくするミカサを見て絶望の形相を浮かべるという流れだ。

  それからは直接的な態度こそ取らなくなったものの、ジャンは何かとミカサを気に掛ける素振りを見せていた。エレンとの関係性を知っているため、一歩引いていただけで、胸の内には特別な感情が残り続けていたのかもしれない。

  一方でミカサはエレン以外、他のどの人間も眼中にないという態度だったが、そのエレンからは「俺のことは忘れて自由になってくれ」と言われていた。もちろん言うまでもなく、ミカサはその願いを否定することを選んだ。埋葬シーンでマフラーを巻いていたことからも分かるように、ミカサは生涯エレンを忘れなかった。

  だがエレンを忘れないことと、誰かと共に生きることは必ずしも矛盾しないだろう。もしかするとミカサは、いつまでもエレンの記憶を共有できる相手として、ジャンと共に生きることを選んだのかもしれない。おそらく“エレンのことを一生想い続けるミカサ”をそのまま受け入れてくれる人物は、ジャンを除けばそう多くは存在しないはずだ。

  なお、「丘の木」の描写についてはもう1つアニメと原作で異なっている点がある。原作ではミカサがどのタイミングで子どもを連れ、エレンの墓を訪れたのか分からない描き方だった。しかしアニメではエレンの墓に7度、雪が降る様が描かれ、その後に墓参りのシーンが登場する。

  本編のラストでアルミンたちが和平大使としてパラディ島を訪れたのが、エレンの死から3年後の出来事。そこから7度季節が巡ったのだとすれば、ミカサがエレンの墓に子どもを連れてきたのは、エレンの死から10年後の出来事ということになる。

  エレンは“道”の世界でアルミンと会話した際、ミカサに「幸せになってほしい」という想いがあることを語りつつ、「オレが死んだ後もしばらく…10年以上は引きずっててほしい」という相反する想いも打ち明けていた。アニメで10年の時間が強調されていたのは、エレンが望んだ通り、ミカサが10年ほど彼の死を引きずっていたことを示唆しているのかもしれない。

  かといってミカサがエレンを裏切ったわけではなく、自分の幸せのために新たな一歩を踏み出すという決断も、エレンが望んでいたことだ。そこでパートナーとなったのが戦友のジャンだったとすれば、なおさらエレンも安心できたのではないだろうか。

  本当にミカサとジャンが結婚したのか、真相はいまだ分からない。ただ、ミカサの選んだ人生が誰よりも幸せで自由なものだったことを願うばかりだ。

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