荒木飛呂彦最新作『ザ・ジョジョランズ』ジョディオ・ジョースターに「黄金の精神」は宿っているか
ジョディオ·ジョースターに「黄金の精神」はあるか
いずれにせよ、荒木が(ある時期以降の)「ジョジョ」シリーズで描こうとしているのは、善と悪の境界線上にいながら、あえて正義を貫くアンチヒーローやダークヒーローたちの姿だろう(岸辺露伴やブローノ・ブチャラティといったサブキャラクターや、第7部の事実上の主人公であるジャイロ・ツェペリなどもその種のヒーローだ)。
むろん、ここでいう「正義」とは、既存の法律や秩序のことではなく、「自らが正しいと信じていること」に他ならない(そういう意味では、「無法者」と「正義の味方」は矛盾しないし、「アンチ」であろうと「ダーク」であろうと、「ヒーロー」は「ヒーロー」なのである)。そして、これまでのシリーズの中でそのテーマが最も色濃く出ていたのが第5部であり、おそらく今回の『The JOJOLands』(第9部)も、それと対になるような物語になるはずだ。
だが、繰り返しになるが、第1巻を読んだ限りでは、ジョディオ・ジョースターの中に「黄金の精神」はほとんど認められない。しかし彼があくまでも“ディオ”ではなく“ジョジョ”であるというのならば、やがてその片鱗を見せてくれることだろう。
物語はまだまだ始まったばかりだが、2023年最大の話題作といっても過言ではない、「ジョジョ」シリーズ最新作に期待したいと思う。