『ラブライブ!サンシャイン!!』効果で伝説の書店が限定復活 聖地・沼津への経済波及は絶大
静岡県沼津市が舞台のアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の聖地を紹介するガイドブックの決定版『るるぶ ラブライブ!サンシャイン!!』(JTB パブリッシング/刊)が、2023年6月30日(金)に発売される。発売に合わせて、6月30日(金)~7月1日(土)の2日間限定で、沼津市の「マルサン書店仲見世店」が復活すると発表された。
マルサン書店仲見世店は1902年の創業で、古くから静岡県東部を代表する老舗書店として知られてきた。沼津駅前の賑わいを象徴する存在であり、1998 年に近隣にあった本店(通横町)と宝塚店(大手町)を統合し、旗艦店として開店した。
その後、アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』に登場すると、瞬く間に聖地のひとつとして認知された。「未来ずら~!」のセリフでおなじみの読書好きのキャラ・国木田花丸が通う書店として描かれたため、沼津の聖地巡礼時にはここで本を買うのがファンの定番コースにもなっていた。しかし、コロナ騒動の真っただ中、2022年5月に惜しまれつつ閉店となった。
そんな名店が、期間限定とはいえ実に約1年1ヶ月ぶりに復活するとあって、話題性は抜群である。しかも、6月30日といえば『ラブライブ!サンシャイン!!』に登場するスクールアイドルユニット“Aqours”の結成記念日である。このタイミングで『るるぶ』が発売されるため、あらゆる意味で歴史的な1日になることは確実で、当日は多くのファンが来店しそうだ。
リアルサウンドブックでもたびたび紹介している『ラブライブ!サンシャイン!!』だが、アニメの終了後も人気はまったく衰えていない。JR東海が現在実施中の『「ラブライブ!サンシャイン!!」沼津ゲキ推しキャンペーン!』も大好評だ。沼津駅はもちろん、市内のあちこちにキャラクターの絵が見られる状態で、沼津市は日本屈指の聖地巡礼スポットとして愛されている。そして、もうすぐスピンオフアニメ『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』が放送予定で、注目度は高まる一方である。
さて、今回のマルサン書店仲見世店復活に際し、『るるぶラブライブ!サンシャイン!!』と月刊誌『LoveLive!Days』の合同販売イベントが開催される。店内には『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』特別パネル展示も実施されるという。なお、当日は『るるぶラブライブ!サンシャイン!!』だけでなく、『LoveLive!Days』2023年8月号の発売日でもある。ぜひ、聖地巡礼の思い出に、花丸ちゃんの気分に浸りながら、マルサン書店仲見世店で本を買い求めてみてはいかがずら?
『るるぶ』の公式Twitterによると、沼津各地の聖地巡礼ガイドのほか、関係者の特別インタビューなどもりだくさんの内容になっているとのことだ。さらに今年7月から放送予定のスピンオフ作品『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』を解剖する記事も掲載されるという。
企画から編集まで担当した編集者の江本典隆はTwitterを更新し、「『るるぶ ラブライブ!サンシャイン‼︎』やっと発表できました。私は企画から内容まで、プロデューサーとして編集部と共に全力で制作中です。作品、Aqours、沼津に関わるすべての皆様、ファンの皆様にリスペクトを込めて作ります!よろしくお願いいたします!!」とコメントしている。
『るるぶ』といえば、JTBパブリッシングが発行する旅行ガイドの決定版だ。1973年に創刊され、今年はなんと50周年を迎える。こうした老舗ゆえ真面目で堅実なイメージがあるが、実はアニメや萌え系とのコラボは以前から積極的に行われてきた。2005年には秋葉原や中野のオタク系スポットを紹介した『もえるるぶ東京案内 ~史上最濃! やくにたつ萌え系ガイドブック~』を出版したのを皮切りに、近年では『ガールズ&パンツァー』や『原神』とのコラボなど話題作を連発している。
記者はまだ今回の『るるぶ ラブライブ!サンシャイン!!』を見ていないが、同社の実績とノウハウを駆使した大作になっていると思われる(余談だが、記者も何度か他のエリアの『るるぶ』で原稿を執筆しているので、同社のしっかりした編集方針については熟知しているつもりだ)。
表紙は描きおろしとなり、まだ画像はUPされていないものの近日中に公開予定という。そして、注目の記事は「Aqoursの声優さんと行く!沼津の注目スポット」だ。なんと、津島善子役の小林愛香、渡辺曜役の斎藤朱夏、黒澤ルビィ役の降幡愛が沼津でロケを行ったようで、撮りおろし写真のほかに“沼津愛”溢れるコメントも多数掲載されるとのことだ。なお、小林愛香と斎藤朱夏は3月24日にJR東海が行う「沼津ゲキ推しキャンペーン!」の一環で、JR沼津駅の一日駅長を務めている。
もちろん旅行ガイドの『るるぶ』らしく、観光ガイドとして優れた内容だ。アニメに多数登場する内浦や淡島、そして現在JR東海とのコラボキャンペーンも話題になっているJR沼津駅周辺、そして美食の宝庫でもある沼津港など、ラブライバー必訪のスポットが濃密に紹介されている。初めて沼津を訪れる予定の人も、何度も沼津を訪れている人でも楽しめる実用性は『るるぶ』ならではだろう。
沼津周辺だけでなく、函館、東京、イタリアのガイドも掲載されるという。沼津が舞台なのになぜ? と思う人もいるかもしれないが、これらの都市も作中に登場する重要な聖地だ。特に函館は『ラブライブ!サンシャイン!!』の2期に多数登場し、2人組のスクールアイドルグループのSaint Snowゆかりの地としても有名。記者も好きな建築である重要文化財の「旧函館区公会堂」など、函館の名所が多数掲載されていると思われる。
沼津はアニメの聖地であるだけでなく、純粋に観光地としても楽しめるスポットが多く、それがファンを引き付ける要因にもなっている。風光明媚な景色や美食の宝庫でもあり、一人旅で訪れても、友人や恋人と旅をしても楽しめる。アニメをきっかけに沼津を訪れて感動し、移住を決めた人も多いという。
そして何より、地元の人たちがラブライバーをあたたかく受け入れてくれることが最大の魅力だろう。日本各地にアニメの聖地は多数存在し、記者も相当数を訪問しているが、沼津は地元の人たちの作品への愛情が突出していると感じる。以前にリアルサウンドブックでインタビューした「つじ写真館」の峯知美さんのような理解者の存在も、沼津が聖地として成功している理由といえそうだ。
テレビアニメの放送終了から既に5年以上が経っているものの、まったく人気が衰える気配がない『ラブライブ!サンシャイン!!』。今後の動向に注目したい。
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