【連載】『ガンダムZZ』は“見なくていい”作品なのか?

『機動戦士ガンダムZZ』第三話に見る規格外の主人公・ジュドー 己のルールとプライドには忠実な快男児

 対するジュドーは、なんでもありの戦い方で生き延びようとする。相手の死角から生身でモビルスーツに貼り付いて爆弾を仕掛け、すぐZガンダムを変形させて逃げ回り、最後はほとんどまぐれ当たりのような形でガルスJの頭部を破壊して勝利する。前回も書いたようにジュドーはガンダムシリーズの主人公として初めて登場した不良少年であり、おそらくケンカにルールはないことを皮膚感覚で理解している。およそ主人公らしからぬ戦い方ではあるが、マシュマーに比べるとより実戦的でパワフル、なおかつシビアな戦闘方法だ。

 物語上の悪役の方がむしろ騎士道精神に則っており、主人公はノールールでどんな手段でも使う不良であるというのは、『ZZ』の特徴だろう。それまでに大人たちによって確立された規則やしきたりにとらわれず、自由に戦って勝利する主人公だとすれば、ジュドーというキャラクターはなかなか痛快である。

 ただ、ジュドーは自分のルールだけはしっかりと守るキャラクターであることは、第三話のラストで説明される。ジュドーはマシュマーの起こした騒動に乗じて火事場泥棒的にZガンダムを盗むことはせず、今回は一旦返却し後日しっかりと強奪すると宣言してブライトたちの元から去る。このラストシーンからは、屑鉄泥棒を生業とするジュドーのプライドが感じられる。ただなんでもありの不良ではなく、己のルールとプライドには忠実な快男児、それがジュドー・アーシタなのだ。

 物語はまだしばらくシャングリラ内でのドタバタが続きそうである。一旦は撤退したマシュマーがいかなる手を使って反撃するのか、気になるところだ。

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