『HUNTER×HUNTER』難しいなら「幻影旅団VSヒソカ」に注目を 待望の連載を楽しむ方法

 「週刊少年ジャンプ」で約4年ぶりに連載が再開された『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)が、やはり面白い。しかし、多くの読者が感じているように、複数の陣営の利害関係が複雑に絡み合い、多数の新キャラクターが登場する展開だけに、現状の連載だけを追いかけていると、話についていくのが難しい状況だ。

 単行本で言えば、現在展開されている「暗黒大陸編」が開始された32巻から、最新の37巻までを熟読すれば、緻密に構成された物語に没入することができるが、すべての読者がそこまで時間を割くのは難しいだろう。しかし、そこで「次の単行本まで……」と、連載から離れてしまうのはもったいない。

 そもそも、当サイトでも既報の通り、作者の冨樫義博氏は「暗黒大陸編」について、意図的に大勢の新キャラクターを登場させており、「破綻しなかったらおもしろい」と語っている(2016年8月20日刊行の『ジャンプGIGA 2016 vol.2』に掲載された、岸本斉史氏との対談より)。読者の側がその構図をすべて把握する、という努力をするのも一興だが、それが難しいことは織り込み済みといえるだろう。

 そうであるなら、同時進行する複数の筋をすべて理解する、という発想は一度横に置いて、「幻影旅団VSヒソカ」という、11月7日発売の「週刊少年ジャンプ」最新号(2022年49号)でちょうど進展のあったパートにフォーカスして楽しむのはどうか。作中最強クラスの能力を持ったキャラクターたちのバトルであり、初期からのファンにとって、もっとも“おいしい”ところだ。

 現在、物語の本筋に大きくかかわっているクラピカとも深い因縁がある、幻影旅団。こちらも最初期のハンター試験からお馴染みのキャラクターであるヒソカが、念願だった団長・クロロとの戦いを果たしたのは、多くの読者が覚えているだろう。ヒソカは完敗し、一度は死亡するが、自身の念能力により蘇生。“旅団狩り”を進め、シャルナーク、コルトピを殺害し、それを受けて、旅団側も“ヒソカ狩り”が至上命題となる。そのバトルが、「暗黒大陸」に向かう巨大な船で起こりつつある、という現状だ。船には多くの実力者がひしめいているが、そのなかでも「幻影旅団」の名前には特別な響きがあるようで、基本的に戦いを避けられる構図になっているのが、ファンにとってはどこかうれしかったりもする。

 このように、基本的に一本の筋を追いつつ、暗黒大陸到着に向けて、散らばった線が一つに集約するの楽しみにするのもいいかもしれない。待望された連載再開だけに、単行本化を待つより、ジャンプの誌面で楽しみたいところだ。

関連記事