『ぼっち・ざ・ろっく!』主人公・ひとりの愛すべきキャラクターとは? 原作との比較から考察

怒涛の勢いで展開するひとりの可笑しさと彼女へのツッコミ

 ひとりの存在感が際立つ『ぼっち・ざ・ろっく!』。原作コミックスは多くのページが同じ大きさをした8つのコマで構成されており、4コマ漫画の集合体としても捉えることができる。

 1つの物語として進行しつつ4コマごとにオチとなるシーンが挟まるため、ストーリーは非常にテンポよく進んでいく。ひとりが段ボールの中からMC風トークを披露したり、肝臓の売買を考えたりなど、前述したひとりの突拍子しのない行動や思考もオチとなるシーンで描かれている。

 怒涛の勢いで展開する個性的なヒトリのおかしなエピソード。個性的なひとりへのツッコミをはじめとするキャラクターたちの掛け合いも本作の大きな魅力である。

 ちなみにアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』では4コマ的漫画を映像として表現するため、原作漫画とは構図を変えて描かれるシーンが多く存在する。

 たとえばアニメ第1話「転がるぼっち」では段ボールの中でのライブを終えたあと、段ボールを脱ぎ捨て虹夏たちの元へ迫ろうとするひとりを魚眼レンズで撮影したような映像で映している。ホラー映画のような演出もあいまって、ひとりが迫りくる様子は(虹夏が思わず「怖いんだけどっ」とこぼすほどに)恐怖を覚える描かれ方も特徴的だ。

 漫画とアニメを見比べることでテンポ感や画の違いを味わうことができ、少しずつ広がるひとりの世界をより一層楽しむことができるであろう。

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