「つるめない芸人」と「プロレス芸人」が持つ哲学の違いとは? ナイツ塙宣之と有田哲平の著作を読み比べ
芸人たちの間でコミュニケーションにおける「暗黙の了解」的な意味で使われることもある、「プロレス」という言葉。その使い方が腑に落ちない有田はプロレスのリアリティを損なわない形で、コンビの相方・上田晋也とのトークライブやテレビ番組での共演者との関係も踏まえつつ、こう別の定義をしてみせる。
〈そこには、そのゲストとの間にしっかりとした信頼関係がある。そういうものが僕の中では「プロレス」なんじゃないかなと思うんです。プロレスって、完全に相手を潰そうとするものではありません。かと言って、お互いが練習してきたものを出し合うだけでもつまらない。そこに信頼関係に基づいたプラスアルファがあって初めて楽しいんじゃないか。そう思うんです〉。
同じ哲学にまつわる本を出したのも何かの縁なので、塙と有田の対決……ではなく対談を、是非どこかで実現してほしい。派手なボケの応酬など必要無い、異なる対人スキルを持つ2人がどう距離を縮めていくのかが見所となる、一見地味だが味わい深い組み合わせになりそうだ。