新選組漫画の新鋭『ツワモノガタリ』最強剣客は誰? 強さを裏付ける“剣術”描写に注目
誠を貫き、剣に生きて剣に散っていった新選組。江戸時代末期、幕府のために剣を振るうも、悲劇的な最期を迎えた彼らだが、その鮮烈な生きざまは150年経った今でも人々を魅了してやまない。
また、新選組といえば『風光る』『新撰組異聞PEACE MAKER』『銀魂』『アサギロ~浅葱狼~』など、漫画の題材としても取り上げられることが多い。史実をベースに描かれる彼らの友情や青春......。今まで様々な切り口で新選組漫画が生まれてきたが、“強さに一番リアルな新選組漫画へ”をうたう、新鋭『ツワモノガリ』(細川忠孝 / 監修:山村竜也)をご存知だろうか?
新選組隊士が語る、幕末最強の剣客
5月6日に単行本第一巻が発売されたばかりの『ツワモノガリ』。ある夜、新選組屯所に集まった隊士たちは、近藤勇の提案により、“幕末最強の剣客は誰か”をテーマに語り合うことに。
まず、一番隊組頭・沖田総司が口火を切る。新選組の天才剣士とうたわれた彼が挙げた、幕末最強の剣客は芹沢鴨。新選組の初代筆頭局長でありながら、あまりの横暴ぶりによってわずか半年で近藤勇たちに暗殺された男だ。1巻ではそんな芹沢鴨と沖田総司が剣を交えた時の様子を描く。
強さの裏付けとなる“剣術”の描写
本作を新選組漫画の新鋭たらしめる所以とは何か。それは、幕末の剣豪たちの姿を友情や青春ではなく、強さから読み解き、さらに入念な取材と構想によって、強さの裏付けとなる“剣術”を精密に描いている点にある。
新選組の強さの秘訣であったといわれる“天然理心流”の使い手・沖田総司。一方、新選組をも魅了した“神道無念流”の使い手・芹沢鴨。1巻で描かれる2人の闘いは、歴史的事柄よりも、各々の“剣術”を中心に展開されていく。だが実際のところ、それぞれの剣術や技がどのようなものであったのか、細かな資料は残っていない。そこで、本作では驚くべき方法で剣術シーンが生み出されていく。
なんと、今も残る天然理心流道場と神道無念流道場を何度も往復し「もしもこの技を受けたらどう返すか?」の問いを重ねていく......とてつもなく膨大な取材のもとに生み出されているのだそう。これによって、それぞれの流派の強さはもちろん、両者の駆け引きが緻密に描かれ、思わず手に汗握る大迫力の剣術シーンとなっている。