「ジャンプ+」で連載中の『センコーバトル』が意欲作すぎる “一部読者”を魅了する狂気を考察

 マンガアプリ「少年ジャンプ+」で連載中のギャグバトル漫画『センコーバトル』が、狂っていて面白い。

 舞台は、荒れに荒れたかつての進学校「私立ゴールデン・レトリバー高校」。生徒の乱れを正すのは先生であり、その先生が“強く”なければならないーーという理念のもと、先生同士のバトルトーナメント「センコーバトル」が開催される。

 「センコーバトル」は知力や指導力、生徒からの人気などを競うものではなく、普通に殺し合いだ。各教員には、受け持つ「教科」や「部活動」にちなんだ武器の使用が認められており、数学だったら例のデカい三角定規、家庭科だったら裁縫に使う毛糸、英語ならリスニング用のカセットプレーヤーなど、見るからに凶器になりそうなものから、「どうやって使うの?」というものまで、幅広い道具が活躍する。トーナメントの裏では何やら怪しい動きもあり、とにかく一筋縄ではいかない作品だ。

 作者の小山喜崇先生は、人気ギャグ漫画家・地獄のミサワと同様に、ゆるく笑えるコンテンツを提供し続けるウェブサイト「オモコロ」での執筆歴もある作家だ。人気少年漫画のパロディを豊富に取り入れながら、ベタからナンセンスまで、豊富な球種でギャグを放り込んでくる。絵柄はどこか懐かしいタッチで、「上手い」と正面から評価する人は多くなさそうだが、力を入れて描いたコマには勢いと迫力があり、「実は高い画力を持っているのでは……」と、コメント欄で推測する読者も少なくない。ただ、意味なく各話に描き込まれている「寿司」を『ウォーリーを探せ』感覚で探したり、意外とツボを押さえたキャラクターの設定に感心したり、ギャグパートとギャップのある熱いバトルを見ているうちに、細かいことは気にならなくなってくる。

 もっとも、物語進行のペースが不安定だったり、人を選ぶギャグが多かったりと、人に「好きな作品」として紹介するのは気が引けるかもしれないし、ハマらない人には何が面白いのかまったくわからないかもしれない。さらに言えば、本作は「ハチャメチャなギャグバトル」であるだけでなく、読者に「読み方」を強制する尖った作品でもある。

 本作は「タテ読み」で随所にカラーが取り入れられた、いわゆる「webtoon(ウェブトゥーン)」のようなフォーマットで描かれている。その使い方が非常にチャレンジングで、例えばキャラクターがぶっ飛ばされたとき、読者にスマホをぐるぐる回転させることを求めながら、縦横無尽に吹っ飛んでいるように見える演出を加えたり、場面をタテに2分割して同時に別のストーリーを走らせたり、高速でスワイプさせてスピード感を強調したり……と、さながらアトラクションのようだ。

 一部読者は「単行本にする気はないのか……」と呆れながら、紙の上で再現できそうもないそれらの仕掛けを楽しみ、小山先生のチャレンジを応援している。

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