【今月の1作】オススメの恋愛&ラブコメ漫画特集 連載中の注目5作品を紹介
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講談社『カラミざかり ボクのほんとと君の嘘』桂あいり:原作/御池彗:漫画
100万ダウンロードを突破したアダルト系人気漫画『カラミざかり』が、青春漫画として生まれ変わり、現在「ヤンマガWeb」(タイトルは『カラミざかり ボクのほんとと君の嘘』)にて連載中。刺激的な描写は抑えられていても、常にランキング上位に食い込む人気作品だ。
もちろん、オリジナルの『カラミざかり』を愛読しているファンの支えもあると思われるが、それ以上に、人間関係や表情の描写、台詞回しにリアリティがあり、また違った意味で読者を身悶えさせているからこその人気だろう。どこか身に覚えのある経験を呼び起こされ、切なく苦しい気持ちになる人も多いはずだ。
オリジナル版と最も違うのは、新たな登場人物の存在だ。それも思いを寄せているヒロインに瓜ふたつという、岩井俊二『Love Letter』的展開。しかし、待っているのは胸キュン展開ではなく、胸が締め付けられるような青春ストーリーなのだ。
登場人物を増やし、オリジナル版の魅力をしっかり引き継ぎながら、予想だにしない方向へ広がりを見せる本作。セクシーな描写をうっすら期待しつつ読み始めても、しっかり心を掴まれる「青春譚」として成立させているその手腕に感嘆させられる。ファンタジーたっぷりに理想が詰め込まれた恋愛漫画も楽しいが、このようなリアリティのある作品は、大人にとっては甘く苦い記憶を愛でる助けになり、これから恋愛をする人たちにとっては人生の「予習」になる、読むべき一作といえるかもしれない。オリジナル版のファンも、そうでない人も、チェックしてみてはいかがだろう。(佐々木康晴)