【今月の1作】オススメの恋愛&ラブコメ漫画特集 連載中の注目5作品を紹介
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『ラブミーテンダーにさようなら』明生チナミ(LINEマンガ)
電子コミックサービス「LINEマンガ」で連載中のオリジナル作品『ラブミーテンダーにさようなら』が面白い。本作は「第2回LINEマンガ大賞」で最優秀賞受賞した明生チナミが描く、“モラトリアムで等身大なラブコメディ”だ。
家でナショジオ観てる方が100倍有意義だーー人生初の彼氏に振られ、独身人生を謳歌していくことを決心した牧村幸恵(27)は、ひょんなことから“恋愛禁止シェアハウス”に住むことに。そこには、それぞれの恋愛観を持った個性的すぎる住人たちがいて……。
歓迎会で泥酔し、部屋に押しかけて迷惑をかけたプロゲーマーの様子を「ハシビロコウに似てたな」と回想したり、浮気性&ナルシストなイケメンに「もしオランウータンだったらものすごい頬だこがありそうですね」(※強いオスだけが発達させるもので、自信の証だという)と言い放ったり、さすが『ナショナルジオグラフィック』好き、という動物知識とともに、天然さを垣間見せる幸恵。一方で、同居人たちがそれぞれに抱える恋愛上の問題にフラットに向き合い、本質を突いていく様子が痛快だ。一言に「恋愛」といっても、奔放派には奔放派の、慎重派には慎重派の考えと悩みがあることが嫌味なく伝わり、尖ったキャラクターたちにもスッと感情移入することができる。
毎話、しっかり笑えるシーンがあり、怒涛の展開も見せるエンターテインメントでありながら、どこか実話を基にしたエッセイマンガのような手触りがあるのも、本作の魅力だ。それはおそらく、作者がやや斜めから、しかし優しく人それぞれの恋愛を見つめ、コメディというトッピングを行いながら、エピソードを細やかに描いているからだろう。読み心地のいい良作なので、アニメ化やドラマ化にも期待したいところだ。(橋川良寛)