直木賞候補で話題『同志少女よ、敵を撃て』がスマッシュヒット! 文芸書週間ベストセラー

 2位『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』は、若くして亡くなった遠藤和という女性の日記をまとめたもの。21歳でステージ4の大腸がんを告知された彼女が、絶対に分かれないと決めた当時の恋人・将一と、結婚したのは22歳のとき。この結婚は、所ジョージがMCを務めるテレビ番組『笑ってコラえて』で放送されたため、記憶に残っている人もいることだろう。その後、出産するためには抗がん剤治療を中断しなければならないとわかっていながら、子どもを絶対にあきらめたくないと願った彼女は23歳で出産、その翌年に亡くなった。

 死は等しく誰のもとにも訪れる、とはいえ、その時期は誰にも選ぶことができない。思いがけない病、あるいは暴力で、突如として奪われてしまうこともある。そのことを2年近いコロナ禍で誰もが感じずにはいられなかったのではないだろうか。だからこそ、未来が訪れることを過信しすぎず、今、ともに過ごせる人との日々を慈しみ、できるだけ後悔のないよう明日を迎えたい。たとえ理不尽が次々と襲いかかってくるのだとしても、自分の矜持を貫き人生をまっとうするために、最後まで戦い抜きたい。そのためのヒントをもらえる一冊が、このなかから見つかるかもしれない。

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