【漫画】ロボットに残された“愛の記憶”は本物? 切なすぎるSF作品がTwitterで話題
ーーお互いの思いが通じ合う喜びと、お互いの思いがすれ違う哀しさを味わえる作品だと感じました。創作のきっかけを教えてください。
円満堂(以下、円満):自分は音楽など日常で触れたものからお話を考えることが多く、本作も当時聴いていた曲からつくりました。その曲は“本物と偽物”がテーマとなっており、自分だったら同じテーマでどんなお話をつくるのか。そんな検証として本作をつくりました。
ーー“本物と偽物”をテーマとした本作をつくるうえで意識したことを教えてください。
円満:物語の前半ではダン博士がレーリアのありがたみに気づいたと読者の方に錯覚させることを、物語の後半ではレーリアへの思いがロボット本人の意思であったことがわかることを意識しました。
ロボットの台詞が描かれた吹き出しは四角形と円形で分けてあり、四角形の吹き出しはダン博士の記憶に含まれていた言葉で、円形の吹き出しはロボット自身の言葉でしゃべっているという設定です。四角形の吹き出しに描かれた台詞だけ見ると、ダン博士がどれほどレーリアへの興味がなかったことがわかるかと思います。
また物語の後半で徐々にロボットの姿が見えなくなるように描き、真実を知ったレーリアがロボットのことを見ることができなくなってしまったことを表現しました。
ーーお話の途中で登場人物の紹介がある点も珍しい表現だと感じました。
円満:物語の途中で結末を迎えたと錯覚させるため、お話の境目に人物紹介のページを入れました。後半では前半の展開がガラッと変わることも意識した点です。単行本だと残りのページ数が推測しやすいため、Webサイトに掲載することを想定した作品だからこそできるしかけだと思います。
ーー円満さんは人と人でないものの関係を描いた作品を多く手掛けているかと思います。題材として種族を超えた関係を描く理由を教えてください。
円満:SNSで人と人外の関係を題材とする作品が流行った時期があり、自分も読者として投稿された作品を見ていました。ただ作品を見るなかで明確なハッピーエンドやバッドエンドで終わるものが多い印象を抱き、自分は人生を生きるなかではっきりとしない終わり方も存在すると思っていたのです。そんなことが描かれた作品を自分が読むために、自分も人と人外の作品を描くようになりました。
ーー人と人でないものの関係を描いた作品の魅力を教えてください。
円満:人と人外の関係には障害やもどかしさが生じることが多く、作者さんごとに展開や終わり方がかなり異なる作品が生まれるテーマだと感じています。最後にはどうなってしまうんだろうと考えてしまう、予測できない展開に自分は惹かれるのだと思います。
人と人外という題材は様々なことを考えることができる題材だと思います。
ーー種族を超えた関係を描くなかで意識している点を教えてください。
円満:人外だからといって特別扱いせず、人と人のような関係を描くことを意識しています。人でない存在だからこれができて、人じゃないからこれができないということはあまり描かないようにしています。本作だとレーリアはロボットをロボット扱いせずダン博士として接する様子や、ロボットをシンプルに描き機械らしさをあまり出さないことを意識して描きました。
また種族を超えた関係を題材としていない作品を描く際には、見た目だけで判断できないことを表現したいと考えています。
ーー円満さんが漫画を描く理由を教えてください。
円満:お話をつくりたいからです。もともと文字でお話を書いていたのですが、あるとき文字よりも漫画の方が読んでくれる人が多いと感じ、絵を描くことを渋々はじめました。ただ自分のお話を読んでほしいからこそ絵の描き方や漫画の構成づくりを考えるようになりました。
ーー創作活動を継続する秘訣を教えてください。
円満:単純にお話をつくることが好きだからです。また作品を見てくれる人がいることや感想をいただくことがうれしいと感じています。創作をするなかで読者の反応が作品づくりの力や励みになることを実感しましたね。