作品と作者の人格は一致しているべき? クリエイター共通の悩みにプロイラストレーターが回答
詳しくは動画を見てもらいたいところだが、その上で、さいとう氏が伝えたポイントは、「(1)本人と作品は必ずしも一致しない」「(2)部外者の方が魅力を発見できる」「(3)表現は『ないものねだり』大歓迎」という3点だ。
まず、さいとう氏が実際に漫画家やイラストレーターと会った経験から、「作家さんと作品のイメージが合致する人はけっこう珍しい」と感じているという。例えば、「ホラー漫画の作者」と聞くと、どんよりした雰囲気で、口調もボソボソ……というイメージを抱いてしまうかもしれないが、少なくともさいとう氏が実際に会ったことがあるホラー漫画家は、「かなり明るい性格の持ち主で、なんなら周りを盛り上げてくれるような方ばかりだった」。逆に、ギャグ漫画家には物静かな人が多い印象があるとのこと、そもそも作品と作家自身にギャップがあることは、当然のことと考えていいようだ。
また今回の場合、暗い世界に生きる人間(部外者)が、明るい世界を描いてはいけない、あるいは的外れな表現になってしまう……という感覚が悩みに繋がっている可能性があるが、さいとう氏はむしろ、部外者だからこそ「明るさ」や「優しさ」について、より客観的に、より魅力的に表現できる目を持っている場合も少なくないと語る。同様に、「(3)表現は『ないものねだり』大歓迎」として、自分の中にないものを描くことができる、つまり現実に縛られず自由に表現できるから、漫画やイラストは素晴らしいのだと、前向きな見方を示していた。
プロとして長く活躍するためには、技術はもちろん、「考え方」が重要になる局面も少なくないだろう。さいとう氏のお悩み相談動画は技術の向上だけでなく、その先に進むための心構えも伝えている。漫画やイラストに限らず、仕事術やライフスタイルにもつながるものなので、気になる人はぜひチェックしてみよう。