研究室で繰り広げられる風変りなラブコメ 『アヤメくんののんびり肉食日誌』はなぜ面白いのか

動物生物学や形態学がテーマ!知ること、学ぶことの面白さ

 動物生理学や形態学……。大人になると、普段の仕事とは関係のない学問や業界のことは、なかなか知る機会はない。しかし、漫画では学問を知るきっかけとなることが往々にしてある。本作では研究室の教授や大学の学部生から博士課程、ポスドク(ポストドクター、博士研究員)であるキャラが登場する。実際に修士課程や博士課程に行っている人にとっては、いろいろ思い出してしまいお腹がキリキリしてしまうかもしれない。院に進むか、就職か……などのポスドク事情、女性が少ない世界でもあり、ダークサイドな話もちらほら出てくるため、業界事情を垣間見ることもできる。日本国内には数十人しかいないという『プレパレーター(化石を研究・展示できる状態にする技術者)』という職業があるのもこの作品ではじめて知った。

 化石の発掘作業やクリーニング、学会発表場面などそれぞれに解説もあるので、「こんな研究活動をしているのか~」と、まるで自分も体験しているようだ。

「化石にはそういう夢がありますよね」

「実際に見ることは出来なくても少しだけ近づけるような……具体的に生きている姿を想像することができる……わくわくしますよね」

 化石のクリーニングなどは地味な作業のようにもみえるが、この化石の生物は一体何だろうと思いを馳せる研究室のメンバーたち。読者としても共にわくわくすることができる。

 作品が進むにつれ、椿先輩もアヤメくんも学年があがっていき、研究室の周りの交友関係、恋愛事情にも動きが見られるようになる。個性的な(?)先輩たち後輩たちに囲まれて、動物生物学や形態学、考古学、日本だけではなく海外の事情など、普段関わることのないところにも触れられる。これが漫画での醍醐味である。

■書誌情報
『アヤメくんののんびり肉食日誌』1~14巻(Feelコミックス)
作者:町麻衣
出版社:祥伝社

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