『王様ランキング』が気づかせてくれる“自分の可能性” ほのぼのとした絵に込められた強いメッセージを読む
敵ばかりだと思っていたけれど……
城内でもボッジの扱いはひどい……ように見えたが、それはあくまで表面的なものだった。
特に、ボッス王国の王妃・ヒリング。ボッスの後妻で、第二王子ダイダの母。ボッジにとっては義母になる。ヒステリックで言葉も辛らつなため、最初はボッジがこの義母にいじめられていたのかと思うのだが、実は心優しい女性で、ボッジを思っての行動をとっていたことがわかってくる。
振り返って見てみると、ヒリングは手話を使っていた。ボッジの言葉に耳を貸さず、ボッジに自分の気持ちを伝える気がないのであれば、手話を学ぶ必要はない。ボッジとちゃんとコミュニケーションを取りたいという気持ちがあってこそ。
ヒリングのように、『王様ランキング』に登場するキャラクターたちには隠された本心があり、実はとてもあたたかい物語なのだ。
ボッジ王子が強くなっていく物語
父・ボッス王が亡くなったあと、ダイダが国王となる。城を出たボッジは自分が持つ力を最大限に生かして強くなる方法を模索する。みるみるうちに成長していくボッジ王子の様子には、とても勇気づけられる。同時に、私たちは自分たちの可能性を諦めてしまっているのではないか、と気づかされる。
ボッジは大きなハンデを跳ね返そうと懸命に自分の心と戦っている。誰だって、強くなりたいと思えばなれる。「自分なんて」そう思ってしまいがちな人にこそ届いてほしい物語だ。