今夜放送『それでも愛を誓いますか?』 原作から考えるドラマの見どころは?

 純を演じる松本が「日常の中にあるささやかなボタンの掛け違いが、登場人物それぞれの視点で描かれていくので、相手側の気持ちや葛藤に共感することもできるんです」(https://mdpr.jp/interview/2794628)と語るように、本作では誰のことも“正しい”、“正しくない”と断ずることはできない。一人ひとりが簡単には人に言えないセンシティブな問題を抱えているからこそ、ぶつかり切れなくてすれ違ってしまうもどかしさが切なく胸に迫る。

 “あざと可愛い”と称される可憐さの中にも芯の強さが滲み、数々の難役に体当たりで挑んできた松本をはじめ、どことなく影のある大人の色気を放つ池内博之や酒井若菜らが確かな演技力を武器に見せる人間ドラマに期待が高まる。

 そして何よりも楽しみなのが、松本演じる純と、映画『佐々木、イン、マイマイン』やNHK大河ドラマ『青天を衝け』で存在感を示し、若手一の実力派俳優としての呼び名も高い藤原季節演じる真山の恋愛模様だ。

 本作は純粋な恋愛マンガとして楽しめる側面もあり、私たちを胸キュンさせてくれるのがこの真山。“ゆとり世代”と言われがちな真山は人とコミュニケーションを取るのが苦手だが、純にだけは少しずつ心を開いていく。インタビューで松本は印象的なシーンとして“長回しのキスシーン”を挙げているが、実のところ今連載されている限りでは純と真山のキスシーンは原作に登場していない。松本のいうキスシーンが果たして真山とのものなのか、武頼とのものなのか気になるところだ。

 リアルな心情描写に心を抉られながらも、誰もが何かを抱えて日々の生活を営んでいることに気づき、ちょっとした安心感をもたらしてくる『それでも愛を誓いますか?』。最終回を迎えていない本作がドラマでどう幕を閉じるのか、夫とのセックスレスを機に人生そのものを見つめ直す純の選択に注目したい。

■書誌情報
『それでも愛を誓いますか?』6巻
著者:萩原ケイク
出版社:双葉社
発売日:10月14日

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