絶対にいらない一品も!? 『名探偵コナン』阿笠博士の発明品を振り返る

弁当型携帯FAX

 最後は弁当型携帯FAX。初登場は第7~8巻収録の「プロサッカー選手脅迫事件」。工藤新一として被害者から事件の情報を聞き出すためにコナンが使用した発明品……なのだが、実態は市販のFAXを弁当箱に取り付けただけの、およそ発明品とは言えないような一品。

 弁当型携帯FAXが本編作中で登場したのは一度きり。やはりこちらもFAXという文化の衰退がその理由の一端だが、それ以上に他のどんなアイテムよりも「これはいらない」と思ってしまうのには理由がある。この弁当型FAX、ご飯に乗っかっている梅干しが起動スイッチになっており、ご飯部分が立ち上がってFAXの姿になるという仕掛けになっているのだが、問題はFAX部分ではない。

“ゲ…おかずは本物だ…なに考えてんだあのジジイ…?”(単行本7巻収録「名探偵 蘭!?」より)

 そう。なんとこの発明品、おかず部分は本物の食べ物。その内容はエビフライ、タコさんウインナー、スパゲッティ、うずらの玉子、レモンやキュウリのサラダ、いちごとバラエティに富んだラインナップ。通常であれば食べてしまいたくなるのかもしれないが、あくまでもFAXとして使用したい時に本物の食品が出てくる衝撃の仕様。衛生的にも心配しかない狂気的なアイテムだ。これには思わずコナンも博士に対して悪態をつくほど。どうしてこういった仕様にしてしまったのか、阿笠博士にぜひ聞いてみたい思いに駆られる発明品だ。

 豊富な種類でコナンをサポートする阿笠博士の開発品。だからこそ中にはコナンにしか使いこなせないようなものや、コナンですら思わず首を傾げてしまうようなものもある。しかしその裏には阿笠博士の奇抜な発想力とそれを実現する技術力があることを忘れてはならない。ストーリーも終盤の『名探偵コナン』だが、阿笠博士の新メカの登場にも期待したいところだ。

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