『ときめきトゥナイト それから』お馴染みのキャラが続々登場 蘭世編からの読者にはデジャヴ的展開?

【※本稿にはネタバレが含まれます】

 漫画雑誌「Cookie(クッキー)」(集英社)にて大人気連載中の池野恋先生による『ときめきトゥナイト それから』。初回は真壁家の状況を説明し、ちょっとだけ不穏な空気を漂わせるだけに止まりましたが、さて第2話は……? 

アラフォーとなった蘭世のポジショニング

 結婚後の蘭世の様子はなるみ編や愛良編でもちょこちょこ描かれてきましたが、ファンサービスのために登場する程度で基本的には脇役に徹していました。今回、蘭世が再び主役に返り咲くということで、2話では中年となった蘭世がどんなポジションなのか、つまり「究極の愛されキャラ」であることが語られています。

 彼女の家族間での立ち位置は娘 愛良の口からはっきりと語られています。「癒し」であり「守られる存在」なのだと。池野恋先生の漫画家人生を振り返ったコミックエッセイ『ときめきまんが道 ―池野恋40周年本― 下』(集英社)には江藤蘭世というキャラクターが誕生した時の秘話が載っていますが、主人公ということで最初から「活発」な性格という設定のようでした。ただ、初期の頃はギャグ要素多めの学園ものだったため、おっちょこちょいという要素が加わっていったのかもしれません。

 物語が進むにつれ、愛情深さが全面に押し出されていき、大人になってからは活発な部分が形を潜め、お人好しで他人を信じやすい部分と少し抜けているところが強調された結果、「癒し」や「守ってあげたい女性」になっていったのかもしれません。

謎の答え合わせと変わらないトーン

 蘭世の立ち位置がわかったところで、ストーリーは第1話の謎に迫ります。第1話には、フードを被った怪しげな人物が登場しましたが、ここで正体が明かされるのです。

 蘭世編は連載期間が長いため、登場人物ひとりひとりのキャラクターアークが丁寧に描かれていたために、読者にとっても馴染み深い脇役たちがたくさんいます。

 だから、従来のファンはあの怪しい人物にもあたりをつけていたことでしょう。そして、想像通り、あれは江藤家と縁が深いキャラクターでした。ばっちり予習した箇所が試験に出て満点がとれたような達成感を得た読者も多いのではないでしょうか。 

 登場のさせ方は、不穏な空気を感じさせつつも、怖すぎない展開に持っていく「『ときめき〜』シリーズあるある」です。蘭世編がシリアスなストーリーに突入した時も、ヨーコ犬を登場させることで常にトーンを中和していましたが、ハラハラドキドキからのホッの流れは『ときめきトゥナイト それから』でも健在みたい。懐かしさが心地よく感じられました。

物語が本格的に動く様子…

 お馴染みのキャラクターが次々と登場する2話ですが、最後には新キャラも出てきます。どうやらその人物がシリーズの鍵を握る様子? まだ2話なのでどうなるかわかりませんが、蘭世に渡したものが意味ありげな気がするのです。

 過去のシリーズの傾向からみても、「渡されたもの」が災や新たな力をもたらすケースは少なくありません。蘭世編なら星形のペンダントと5つの指輪、なるみ編なら想いヶ池の花、愛良編なら生まれてきた時に握っていたペンダントが鍵となっていました。今回、蘭世の元にあるものが渡りましたが、自然な成り行きとはいえ、大なり小なりのアクシデントを運んできそう。

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