ティラノサウルスは羽毛でモフモフだった? 『ダーウィンが来た!』敏腕ディレクターが語る、”古生物のアップデート” 

未来の研究者にもこの本をぜひ読んでほしい 

ーーこれまでに制作された番組や本のなかで恐竜に関するものが目立ちますが、やはり恐竜はお好きなのですか?

植田:小学生のときの文集を見ると「恐竜博士になりたい」と書いていたりするので、前提としては恐竜に興味があったと思います。だからなのか、最初に「恐竜vsほ乳類」を担当させてもらってから、ズブズブとはまっていきました。

 恐竜は姿カタチが面白いですし、「ダーウィンが来た!」での今の動物の撮影の経験値を活かせる利点あります。今の鳥やほ乳類はかなり参考になりますし、「ダーウィンが来た!」のディレクターとして、自分独自の経験値を番組の中身に直接、反映できる余地が大きいですね。もちろんテレビ的な企画の通りやすさもあったと思います。

 ただ、それを足がかりに、ついに今年4月に恐竜時代を通り越して古生代のアノマロカリスを番組で取り上げることができました。この先、もっといろいろな時代の古動物も取り上げていくのが目標です。決して恐竜だけが好きということではありませんし、いろんな時代の動物を学びながら生命について考えることが好きですので、いま生きている動物も番組等でしっかり紹介していきたいです。

ーー最後に、読者へのメッセージがありましたら。

植田: 本書や夏に出る第2集を含めて、生命の進化を知ると同時に、いま生きている動物のバックグラウンドが見えてくるところがポイントです。いま存在している動物にはそれぞれ40億年の歴史があります。そのことを知ることにより、「ダーウィンが来た!」に毎週登場する、様々な動物を見るときに感じる奥深さが変わるのではないでしょうか。

 そしてこうしたロマンの世界を、番組や書籍をきっかけに知って関心を持った子供たちがいつか研究者になって現在では究極的に答えが分からない世界を「上書き」したり、私のように番組制作に携わるようになったり、そんな人が出てくるといいですね。

植田和貴プロフィール

株式会社NHKエンタープライズ 自然科学番組部チーフ・ディレクター。1997年日本放送協会入局。釧路放送局、制作局科学環境番組部などを経て現職。主な担当番組に、ダーウィンが来た!「バシリスク」「ハチドリ」「パフィン」「ティラノサウルス」「丹波竜」、NHKスペシャル「恐竜vsほ乳類」「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」「火星大冒険」「メガクエイク2」「生命大躍進」「世紀の発見! 日本の巨大恐竜」「恐竜超世界」など。また2020年に劇場公開された「恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!」を監督。その他、主な著書に「NHKダーウィンが来た! 特別編集 知られざる恐竜王国!! 日本にもティラノサウルス類やスピノサウルスがいた!」(講談社)、「NHKスペシャル 恐竜超世界」(日経ナショナルジオグラフィック社)などがある。

■書誌情報
『ダーウィンが来た! 生命大進化 第1集 生き物の原型が作られた(古生代〜中生代・三畳紀)』
著者:植田和貴
編集:ナショナル ジオグラフィック
発行:日経ナショナルジオグラフィック社
定価:1800円+税
発売日:発売中

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