『名探偵コナン』トラウマを植え付けられた人も多いはず! “ホラー”エピソードに思わず背筋がゾクッ……
図書館殺人事件(第10巻)
『コナン』史上でも類を見ない程の衝撃を読者に与え、その後もネットを中心に語られ続けるエピソードがこの『図書館殺人事件』。休みの日に図書館にやってきたコナンと少年探偵団の3人。図書館職員の玉田が行方をくらませている情報を聞きつけた4人は、閉館後も図書館に残り、館内にあるはずの死体を捜索する。そこにやってきた館長の津川。津川館長から逃れ逃れ身を隠しながら、麻薬の密輸を勘づかれた津川館長が玉田を殺したことを突き止める。玉田の死体も見つけ出し、急ぎ図書館から脱出し警察への通報を試みようとしたコナンたちだが、目の前には津川館長が立ち塞がる。
この『図書館殺人事件』が「サンデー」掲載から25年以上経過した今も語られ続けるのは、やはり津川館長の衝撃的な描かれ方によるところが大きいだろう。犯人が津川館長だと発覚して以降、彼が出てくるシーンは全てがトラウマに残るようなゾクゾクとする恐怖を感じる物ばかり。特に何度か出てくる津川がコナンたちを探すために顔を覗かせるシーンは衝撃。ストーリーが進むにつれ狂気を増す津川館長の姿や表情が今なお沢山のファンの記憶に残り続ける名エピソードだ。
赤女の悲劇(第82,83巻)
前回の『スプラッタ編』でも記した通り、数こそ減ってしまったものの、作者の青山剛昌は今もなお読者のトラウマに残るようなエピソードを描いている。特に近年のトラウマエピソードと言えばこの『赤女の悲劇』だろう。
コナン、蘭、園子、そして世良の4人は長野の森の中に建つ貸別荘を訪れる。世良は探偵としてこの別荘の謎を解くという依頼を受けていた。貸別荘でコナンたちは近くの別荘で起こった凄惨な殺人事件と、その殺人鬼である“赤女”が今もなお逃亡中であることを知る。やがて別荘では依頼者の知人である薄谷が殺され、一同は赤女の犯行を疑うが……。
このエピソードのトラウマポイントは、赤女の容姿や表情だろう。特にとある事件関係者が赤女との過去を振り返る回想シーンは、返り血を浴びた赤女が目を見開き笑みを浮かべながら包丁を投げつけてくるというなんともショッキングな描写になっている。そして蘭や園子などのレギュラーメンバーや貸別荘に居合わせた関係者たちが赤女に恐怖する表情も、読者にさらなる恐怖を与える。恐怖の対象そのものではなく、周りのキャラたちが恐怖する表情こそ、青山剛昌的・トラウマエピソードの神髄かもしれない。
他にも、16巻収録の「帝丹小七不思議事件」や、20〜21巻に収録の「青の古城探索事件」、56巻収録の「鬼婆伝説殺人事件」など、27年近い歴史を持つコナンの中でもホラーめいたエピソードは数多くある。あなただけのお気に入りの1本をぜひ見つけてほしい。
■ふじもと
1994年生まれ、愛知県在住のカルチャーライター。ブログ「Hello,CULTURE」で音楽を中心とした様々なカルチャーについて執筆。Real Soundにも寄稿。
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