『五等分の花嫁』五つ子姉妹、誰を選ぶべき? それぞれの個性と魅力を考察

個性豊かな五つ子姉妹のそれぞれ異なった魅力

 五等分の花嫁の魅力は、なによりも個性豊かな五つ子姉妹のキャラクターだろう。作中でも“全員が落第寸前だが、五人合わせるとちょうど満点”というエピソードがあるように、5人全員がほかとは違うそれぞれの魅力を持っている。

 風太郎と最初に出会った五月は、ロングヘアーに星柄のヘアピンが特徴の末っ子。性格はとにかく真面目で姉妹で唯一勉強への意欲が高いが、特段要領が悪く成績は伸び悩んでいる。風太郎との出会いも最悪で自身の大食いを指摘されて以降、風太郎が家庭教師として自宅に来ても、1人で勉強に励んでいた。姉妹の中ではしっかり者で常識人のイメージがあるものの、要所要所で末っ子の雰囲気も漂わせている。

 長女である一花は、アシンメトリーの髪型にピアスが光る、ズボラお姉さん。部屋は汚く普段はテキトーに過ごしているが、いざというときは長女として姉妹を引っ張っていく姿も垣間見える。また一花は駆け出しの女優であり、その演技力は非常に高い。

 次女の二乃は四六時中ツンツンしている。髪型は黒いリボンで結ったツーサイドアップ。

風太郎に対して1番攻撃的であり、時折ヒステリックな一面も見せていた。一方で姉妹で1番社交的であり、姉妹のことをとてもよく考えている。また自他共に認める面食いであり、作中で恋をするもその相手は実は……。

 三女は“姉妹の中では”1番成績が良く、日本史が得意な三玖。片目を隠したセミロングの髪型に、常時付けているヘッドホンが特徴的だ。日本史の中でも特に戦国武将が好きで、風太郎が戦国武将について勉強してきたことをきっかけに、急速に距離を縮める。クールで常に冷静ではあるものの、自分の気持ちに素直な性格である。運動音痴で料理下手と様々な部分で劣等感を抱えているが、そのクールな口調で放たれる甘いセリフは、破壊力抜群。

 そして最後に素直で元気な四女の四葉だ。ボブカットにリボンが特徴の四葉は、風太郎の家庭教師に唯一最初から協力的だったキャラクターである。運動部に入部を頼まれるほど運動神経が良く、姉妹の中で1番幼い雰囲気。感じの悪い風太郎にも臆さず、無邪気に彼を支える。その一方で自分に自信がなく、ときには思い悩んでいる様子も見せた。

 このようにヒロインである五つ子はそれぞれが誰とも被らない個性を持っており、読者も必ず応援したくなるヒロインが見つかること間違いなしだ。そして本作にてもう1つ特筆すべき点は、「物語の最初に風太郎の結婚式が描かれている」ことである。作品の冒頭、ストーリーは風太郎の結婚式から始まる。

『五等分の花嫁』(14巻)

 タキシードを着た風太郎の隣には、ウェディングドレスを着た女性の姿。普通ならば誰が風太郎と結婚したのか一目瞭然だが、本作のヒロインは一卵性の五つ子。この結婚式のシーンは、作中でも度々登場する。その度に風太郎と近しい人物を見極めながら、最後は誰を選ぶのか自ら考察するのもこの作品の醍醐味と言える。風太郎の結婚相手は誰なのかという、最大の謎。この謎が気になったが最後、作品から目を離せなくなるだろう。

 落第寸前の五つ子姉妹と出会った、風太郎の高校生活を描く『五等分の花嫁』。五月達は家族であり全員が姉妹を大切に思っているのも、本作のキーポイントだ。ときには恋敵になるも、家族の絆と恋の狭間で揺れる五つ子。その切なくも強い輝きを放つ姉妹と、風太郎の高校生活をぜひ一度見てもらいたい。

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