大人が読んでも怖すぎる……『笑ゥせぇるすまん』トラウマ回を検証
友だち屋(中公コミックスーリ1巻)
喪黒は、一人暮らしで寂しい思いをする青井達夫の家に乗り込み、「女性を紹介する」と持ちかける。そして、白木純子という女性を紹介し、テープと女性が写った写真を渡し「とりあえずこの写真と声で試験的に付き合ってください」と、会話するよう促す。
すっかり惚れてしまった青井は喪黒に文通を促される。文通後、ついに女性から「新宿西口公園で会いたい」持ちかけられた。「もう1人じゃない」と喜ぶ青井が公園を訪れると、そこには写真の女性が座っていた。
憧れの女性と面会し、手を握った青井だが、女性は倒れてしまう。これは人形だったのだ。さらに人形から「きゃー助けて」という音声が流れ、青井は公園にいた男たちに取り囲まれ、袋たたきにされる。「違うんだ。違うんだ」と青井は叫ぶが、警察官に逮捕されてしまった。そんな様子を見た喪黒は「これが趣味なのです」と笑った。
寂しさを募らせる男性の青井を、完膚なきまでに叩きのめし犯罪者に仕立て上げた喪黒。一体彼の目的は、何だったのだろうか。その理由は明かされない。
レンタル彼女 (中公コミックスーリ2巻)
彼女がいない出雲は、食事に彼女同伴で来るよう同僚に持ちかけられ、本当は女友達がいないのにもかかわらず、勢いで承諾してしまった。
そんな出雲に近づいた喪黒。悩む出雲だが、「彼女がいない君に」というビデオを見て寂しくなり、結局力を借りることに。喪黒は「あくまでもレンタル」「好きになってもどうにもならない」という条件で、超美人の女性・エリを紹介。出雲はエリを見せびらかし、同僚の前で鼻高々だった。
上機嫌の出雲は「もう一度会わせてほしい」「寝ても覚めても彼女の笑顔が頭から離れない」「もう一度会えば諦める」と頼み込む。喪黒は「そんなに言うなら、会わせてもいいですけど。その代わりどうなっても知りませんよ」と話す。
美女が出雲のもとを訪れると、「今日は連れがいるのよ」と話す。すると関西弁のいかにも反社会的勢力のような男が現れ「私はマネージャーですわ。詳しい話は中で」と家の中に足を踏み入れた。
喪黒は「いい夢で終わらせたほうが良かったのに」と、不敵な笑みを浮かべた。なおアニメ版では「今は何でもレンタルの時代、でも愛情までレンタルにしようなんて……」と紹介しておきながら身もふたもないことをいい、高笑いするという悪人ぶりを見せている。
またも寂しい独身男性を陥れた喪黒。「鬼!」と叫びたくなるような話だった。
恐ろしすぎる喪黒の悪意
少々後味が悪い気もするが、喪黒福造の真意不明な「悪意」がこの作品の真骨頂。人間の誰もが持つ「心の隙間」と「黒い部分」に光を当てた内容が、『笑ゥせぇるすまん』が多くの人々に支持された理由なのかもしれない。