『Dr.STONE』千空VSゼノ、天才科学者の頭脳戦で勝敗を分けたのは? 最新19巻を徹底考察
『Dr.STONE』(集英社)の第19巻が発売された。稲垣理一郎(原作)とBoichi(作画)が「週刊少年ジャンプ」で連載している本作は、全人類が突然石化して文明が滅びた後の世界を舞台にした科学漫画。
石化から目覚めた高校生の天才科学者・石神千空は科学の力で文明を復活させ、仲間たちと共に人類を石化した謎を究明するために冒険の旅に出る。
以下、ネタバレあり。
第19巻では、アメリカ大陸を舞台に、千空率いる科学王国と、天才科学者・ゼノが率いるアメリカの科学王国の対決が描かれる。
科学王国は科学船ペルセウス号で移動する千空たちと、特殊部隊に別れて行動。特殊部隊は千空の指示で、ゼノのいる敵本陣の城に地下トンネルを掘って忍び込もうとしていたが、敵の狙撃によって千空は負傷し動けなくなってしまう。急遽、クロムが作戦までのロードマップを組み立て、土木採掘輪転式ループナイフこと“ドリル”を発明し、城へと向かう。一方、アメリカの特殊チームはペルセウス号を襲撃。千空は七海龍水と共に敵から奪った飛行機に乗り、敵国隊長のスタンリーが操縦する飛行機を迎え撃つ。
この巻はアクションが多く、戦闘機同士の空中戦や大ゴマで銃を構える場面など、派手な画が多い。これまでは発明の面白さを見せるための説明が多く、読み物としての側面が強かった本作だが、空母、飛行機、銃火器といった近代兵器が多く登場するようになったアメリカ編では、バトルアクション漫画的な面白さが強まっており、Boichiの筆が乗っているのがわかる。
激戦の末、敵戦闘機を撃沈させた千空と龍水だったが、実は操縦していたのはスタンリーの部下だった。その隙にスタンリーは潜水艦でペルセウス号を制圧。科学王国の仲間たちは捕まってしまう。しかし、クロムたち特殊部隊もゼノの拘束に成功。戦いは引き分けだったが、ペルセウス船を制圧されたことで千空たちは退路を絶たれてしまう。
戦いは劇中に登場するチェスに象徴されるように、大将の千空とゼノがお互いの思考を探り合う頭脳戦となっていた。千空にとっては師匠とも言える存在との対決だったが、同じ天才科学者でも、千空とゼノでは根底にある価値観が真逆だったと言える。