『BLEACH』一護とルキアの関係性を考察 2人の関係は仲間? 友人? それとも……

 連載終了から4年が経ってもなお高い人気を誇る久保帯人『BLEACH』。家族を護るために悪霊である虚を退治する死神となった高校生・黒崎一護と、死神、人間、滅却師といった仲間たちとの戦いを描く。

 死神のルキアとの出会いによって、それまで当たり前だった「人間としての生活」が変わった一護。死神代行として人間ならざる者と戦うことになる。きっかけは自分の家族を護るためだったが、次第に人間界を越えた戦いへと巻き込まれていくことになった。

必然だったルキアと一護の出会い

 ルキアと出会い、死神としての力を手に入れた一護。偶然かと思われていたこの出会いは、実は一護たちの最大の敵となる藍染に仕組まれていたものだった。

 元死神・一心と滅却師・真咲の間に生まれたというだけではなく、もともと藍染が一護に興味を示す理由があった。自分たちが作った改造虚・ホワイトが滅却師である真咲を虚化させようとし、それを救ったのが一心である。つまり、一護は死神と虚、滅却師の力を持っている存在だった。だから、藍染としては興味深い観察対象だったのだ。

 当然、このことをルキアは知らないし、一護だって知らない。一心が死神だったことさえ、知るのはずっと後のことだ。

ルキアと一護は出会いを偶然だと思っていた。状況が状況だったので、第一印象は最悪。それでも死線を共にし、戦ううちに絆が芽生えてくる。一護が死神代行として戦っているときに、仲間は互いしかいなかったのだから。

ルキアと一護の関係とはなんだったのか

 ルキアが尸魂界に連れ戻されたとき、尸魂界に行く方法があるのだと知った瞬間に一護は助けに行く決断を下す。自分以外にやる奴がいないならしょうがねぇ、と。例えば学校でみんなが嫌がる係を引き受けるのとはわけが違う。でもノリはそんな軽さだ。すでに虚とは何度も対峙しているし、白哉にはこてんぱんにやられた直後のこと。命をかけた戦いになることは間違いない。

「しょうがねえ! やってやろうじゃねえか!」

 この宣言のあとにこうある。

「雨がやんだ 気がした」

 母を失ったときの無力さ。追い続けた罪の意識。一護の心の中にはいつも雨が降っていた。それがルキアと出会うことでようやく変化したのだ。

 一方ルキアはどうだろう。処刑されることは仕方がないと諦めているはずなのに、一護が尸魂界に侵入したと聞いて気持ちが揺らぐ。義理の兄・白夜は自分を助けないと諦め、幼なじみの恋次に助けてくれと泣きつくこともしなかったのに。もっともルキアが泣きつくようなキャラクターなら恋次は想いを寄せていないだろうが。

 一護は、かつてルキアが慕っていた上官・海燕と似ている。これは一心と海燕が親戚関係にあるからだ。虚に取り込まれた海燕は、ルキアが殺した。しかし、海燕はずっと信頼していた人物だ。その人と見た目だけではなく、考え方も似ている人が現れたとしたら……一護に対して他の者に対するよりも、心を開いてしまうのは仕方がないことではないだろうか。

 何より、ルキアは海燕の一件から自分が生きていることに疑問を抱き続けていた。それが一護と共に戦い、一護の考え方に触れるうちに「生きていてもいいのだ」と思えるようになっていく。ある意味、ルキアはずっと誰かに許されたがっていた。そして許された。ほかでもない一護に。

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