『BLEACH』チャドはなぜ戦い続けたのか? 友との約束が強くする拳
強くなっていく一護にチャドは……
一護は戦いを重ねていく中で、その強さに磨きをかけていく。尸魂界からも一目置かれ、敵からは要注意人物とされる。
その中でチャドとの間に戦力の差が生まれていく。怪我を負い、治癒中に破面に襲撃された際は一護に助けられる。それだけでなく、「俺に任せて退っていてくれ」と言われてしまう。この言葉に強いショックを受けるチャド。
「俺はもうお前と並んで戦えないのか」
ここで全ての戦いから撤退する、という選択肢もチャドにはあったはずだ。しかし、そうはしなかった。浦原に頼み込み、修行をしてほしいと頼み込む。そこでチャドの修行の相手をしたのが恋次だった。
チャドは十分強いが、もうワンランク上に上がるためには卍解を使える死神が相手である必要があった。そこで浦原はたまたま居候していた恋次に頼んだ(押し付けた)のだった。
チャドは、恋次との修行の中で新たな力を手に入れ、再び一護と共に戦うことになる。自分のために拳を振るっていたのだとしたら、チャドの心はとっくに折れていただろう。周りと力の差がありながらも、最後まで一護の戦友であり続けた。それは一護のためにある拳だったからだ。
時を経て、大人になったチャドはプロボクサーとなり、世界タイトルに挑戦するまでになった。その試合を見るために、仲間たちが集った最終回。友のために振るった拳が今は、友を繋ぐ拳となっているのかもしれない。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『BLEACH』(ジャンプ・コミックス)74巻完結
著者:久保帯人
出版社:株式会社 集英社
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