三浦しをんが伝える、『HiGH&LOW』を基にした“小説の書き方”とは? 「小説を書くのは自由な行い」

 集英社が主催する「コバルト短編小説新人賞」の選者を、14年に渡り担当していた著者。ある年「しまもよう」というお題を応募作に設けてみたところ、ストレートに「縞模様」と解釈して書いてくる応募者がほとんどだった。そのことから、二十二皿目「お題について」では他の書き手と設定や内容の被らない発想方法を提案する。

 よくよく考えると、コース料理を振る舞うように小説を書くコツを教えていくという本書独自の設定は、「お題について」で語られていることの実践例だとわかる。コツの実践は読み返してみると本書の他の部分にも見つけられるはずで、再読にも単なる復習では終わらない、新たな発見の可能性が詰まっているのだ。

 さらには本書をガイドに、実際にハイローを鑑賞して、そのすごさやツッコミどころを確かめてみるのもおもしろそう。そんな本編から逸脱した読み方をしていいのかという、心配は無用。本を読むのも自由な行いだから、細かい作法とか気にしなくてオッケーだぜ!きっと。

■藤井勉
1983年生まれ。「エキサイトレビュー」などで、文芸・ノンフィクション・音楽を中心に新刊書籍の書評を執筆。共著に『村上春樹を音楽で読み解く』(日本文芸社)、『村上春樹の100曲』(立東舎)。Twitter:@kawaibuchou

■書籍情報
『マナーはいらない 小説の書きかた講座』
著者:三浦しをん
出版社:集英社
出版社サイト
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