『SLAM DUNK』宮城リョータのプレイが勇気をくれるワケ ハンデを武器にする男の格好良さ

『SLAM DUNK 新装再編版 17』

 舐められるのが当たり前の宮城だからこそ、誰かが自分を信じてくれた時、その実力は何倍にも発揮される。山王のゾーンプレスに圧倒されて冷静さを欠いた時もそうだ。マネージャーの彩子が手に書きつけた「No.1ガード」の文字をぐっと握りしめた宮城は、深津を抜き、さらにその口癖を真似て「スピードなら…No.1ガードはこの宮城リョータ――だぴょん」と後ろ手で流川にパスを通してみせる。“あんたはえらそーにして相手をおちょくるくらいがちょうどいいのよリョータ”という彩子の思いは、読者の総意だったのではないだろうか。

 私たちはいつもジャイアントキリングを期待している。小さい者、侮られる立場の者が、予想を覆して強者を打ち倒す番狂わせが見たいと望んでいる。その光景は、ハンデもコンプレックスも乗り越える勇気を与えてくれるからだ。そんな期待に、宮城リョータはいつも鮮やかに応えてくれる。

「身長だけでバスケができると思うなよ、赤頭」

 出会って早々、一対一を挑んだ花道に宮城が言い放ったこのセリフがなんとも宮城らしくて、眩しい。

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。満島エリオ Twitter(@erio0129

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