『ゴールデンカムイ』アシリパが杉本に抱く感情は“恋”なのか? 大人になってきた少女の胸中を探る

 杉元と関わり続けていくことで、ゆっくりと大人としての顔を見せていく彼女。ただおちゃめで、元気いっぱいなだけの少女ではない。まだ杉元をどこまで意識しているのか、彼に何を求めたいのかは分からない。もしかすると、好意がただの執着という可能性もある。

 だが確実に分かるのは、アシリパは杉元と共にいることを心から楽しんでいるということだろう。二人で食事をする姿、狩りをする姿――。どんな時も、杉元といるアシリパの笑顔は何よりも輝いているのだから。

 彼女の想いは杉元へと届く日が来るのだろうか? そして杉元自身も、アシリパへの気持ちを明確に表したことがない。青年漫画のはずなのに、まるで少女漫画を読んでいるようなもどかしさが読者を襲う。妙にドキドキさせられるので、『ゴールデンカムイ』はそういう意味でも“ニクい”作品なのだ。

 金塊の行方も気になるのだが、杉元とアシリパの関係性も大きく気になるところ。二人が笑いあって幸せになれる日がいつか来るといい、そう願ってやまないのだ。

■たかなし亜妖
平成生まれのサブカル系ライター。ゲームシナリオライターとしての顔も持つ。得意技は飲み歩きと自炊。趣味はホラー映画鑑賞。

■書籍情報
『ゴールデンカムイ(11)』
野田サトル 著
価格:¥594
出版社:集英社
公式サイト

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