『鬼滅の刃』善逸&伊之助コンビが見せた友情の力 涙の決意表明を振り返る

 『週刊少年ジャンプ』2020年23号に掲載された『鬼滅の刃』第204話は、今後どのような展開になるのか、様々な予想が飛び交う内容となった。

 本稿では、無惨と最前線で闘いつづけた炭治郎の鬼殺隊同期であり、心の友であり、サポーターでありつづけてきた善逸と伊之助はどのような存在であろうとしたのかを掘り下げてみていきたい。

※以降、ネタバレあり

『鬼滅の刃(3)』

 無限列車編では、第66話にて、こんな描写がある。煉獄杏寿郎の遺言を、炭治郎、善逸、伊之助が聞いていたとき、伊之助は泣きながら「悔しくても泣くんじゃねえ」と他の2人に強がってみせる。それに対して、善逸は「お前も泣いてるじゃん……    かぶり物からあふれるくらい涙出てるし」と突っ込むが、伊之助は「俺は泣いてねえ!!」と言って善逸に頭突きをくらわす。この描写は思い返せば、その後、善逸と伊之助が激化する戦況をどのように協力して切り抜けるのか、その決意表明だったようにもとれる。

 例えば、無限列車編直後の吉原遊郭編では、炭治郎が水の呼吸ではなく日の呼吸へとシフトチェンジしていく。つまり、自らを極端にアップグレードさせていくわけだが、炭治郎とは対称的に、彼らは彼らのペースで成長していくのだ。

 上弦の陸の堕姫・妓夫太郎戦のラスト、炭治郎と音柱・宇髄天元が妓夫太郎の首を狩り、善逸と伊之助とが堕姫の首を狩る描写。炭治郎は斬撃を強めるなかで痣を発現するも、善逸と伊之助はただただ闘いの最中に引き上げた強さで斬りぬいた。炭治郎に大きな変化があったときも、善逸と伊之助のコンビは正気のまま戦い抜くことができることを示唆していたように読める。

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