サッカー本大賞2020『欧州 旅するフットボール』が大賞受賞 特別賞・読者賞も発表

 2019年度(1月1日~12月31日)に刊行されたサッカー本(実用書、漫画をのぞく)を対象に、選考委員によって決定された「サッカー本大賞2020」が4月1日に発表された。大賞を受賞したのは『欧州 旅するフットボール』(豊福晋著、双葉社刊)。

 特別賞を受賞したのは、『プレミアリーグ サッカー戦術進化論』(マイケル・コックス著/田邊雅之訳、二見書房刊)と、『岡田メソッド――自立する選手、自立する組織をつくる16歳までのサッカー指導体系』(岡田武史著、英治出版刊)の2作品。また、WEBサイトで投票を行った読者賞には、『サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質 才能が開花する環境のつくり方』(菊原志郎・仲山進也著、徳間書店刊)が最多票を獲得し選ばれた。

 大賞に輝いた『欧州 旅するフットボール』について、選考委員長である佐山一郎は、選考委員全員が「文章がいい、声が聞こえてくるということで珍しく一致」したとコメントを寄せ、文芸評論家の陣野俊史も「堀江敏幸のデビュー時に近い。ちょっと格好はつけていますが、庶民的な感じを受けました」と絶賛した。

 「サッカー本大賞」は、良質なサッカー書籍が日本のサッカー文化を豊かにするという主旨で、雑誌『フットボール批評』の発行や「フットボールチャンネル」を運営するカンゼンが創設。2014年から始まり、今年で7回目となる。なお予定されていた授賞式はコロナウイルスの感染拡大および予防のため中止となった。

■選考委員プロフィール

<選考委員長>佐山一郎(さやま・いちろう)
作家、編集者、立教大学社会学部兼任講師。アンディ・ウォーホルズ『Interview』誌と独占契約を結んでいた『Studio Voice』編集長を経て84年、独立。主著書に『東京ファッション・ビート』(新潮カラー文庫)、『サッカー細見 ’98~’99』(晶文社)、『デザインと人』(マーブルトロン)、『雑誌的人間』(リトル・モア)、『VANから遠く離れて -評伝石津謙介-』(岩波書店)、『夢想するサッカー狂の書斎 -ぼくの採点表から-』(カンゼン)。近著に『日本サッカー辛航紀 愛と憎しみの100年史』(光文社新書)。

幅允孝(はば・よしたか)
有限会社BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。人と本の距離を縮めるため、公共図書館や病院、動物園、学校、ホテル、オフィスなど様々な場所でライブラリーの制作をしている。最近の仕事として視覚障害者用の選書をした「神戸市立神戸アイセンター」や「JAPAN HOUSE LONDON」など。近年は本をリソースにした企画・編集の仕事も多く手掛ける。昨年12 月からJFLのサッカーチーム「奈良クラブ」のクリエイティブディレクターを務めている。Instagramアカウント@yoshitaka_haba

実川元子(じつかわ・もとこ)
翻訳家/ライター。兵庫県出身。上智大学仏語科卒。ガンバ大阪の自称熱烈サポーター。著者に『翻訳というおしごと』(アルク)。翻訳書に『GILT―ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー』(アレクシス・メイバンク、アレクサンドラ・ウィルキス・ウィルソン著、日経BP社)、『堕落する高級ブランド』(ダナ・トーマス著、講談社)など。『PK―最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?』(ベン・リトルトン著、カンゼン)、『孤高の守護神 ゴールキーパー進化論』(ジョナサン・ウィルソン著、白水社)で2年連続「翻訳サッカー本大賞」受賞。

陣野俊史(じんの・としふみ)
1961年生まれ。文芸評論家、フランス文学者。長崎生まれ。早稲田大学第一文学部日本文学科卒業、明治大学大学院フランス文学専攻博士課程満期退学。立教大学大学院特任教授。著書に『じゃがたら 増補版』『テロルの伝説 桐山襲烈伝』『泥海』(河出書房新社)、『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)、『サッカーと人種差別』(文春新書)、翻訳書に『ダフト・パンク テクノ・ファンクのプリンスたち』(ヴィオレーヌ・シュッツ/河出書房新社)などがある。

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