石原さとみ主演でドラマ化『アンサングシンデレラ』に薬剤師の反応は? 作品への期待を訊いてみた

 荒井ママレによる医療漫画『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』が、石原さとみ主演でドラマ化されることが発表され、話題となっている。ドラマ版のタイトルは『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』で、フジテレビにて4月より毎週木曜22時から放送される予定だ。薬剤師にスポットライトを当てるのは日本の連ドラ史上初の試みで、薬剤師業界からも大きな期待がかかる。現役の薬剤師で原作ファンの荒木雄大氏に、作品の魅力とドラマ化に対する薬剤師たちの反響を訊いた。

「医師や看護師に比べて、私たち薬剤師の仕事は地味で表に出ないため、一般の方にはその仕事内容が具体的にどういうものなのかが伝わりにくいと感じています。実際、患者さんから『なぜ目薬一本で30分も待たなければいけないのか』といった質問を受けることも少なくありません。薬剤師が具体的に何をしているかというと、医師が出した処方箋の内容が適切なものかを薬剤師の視点から判断する処方監査、さらに患者さんへお渡しする薬が処方箋の内容と誤って調剤されていないかを確認する調剤鑑査という2つのプロセスを、少なくとも薬剤師2名以上によるダブルチェックで行なっています。もし処方箋に疑問点があれば、疑義照会といって処方した医師に『薬の飲み方に間違いがあります』と指摘します。わずかなミスも見逃してはいけないのが私たちの仕事で、薬自体は小さいかもしれないけれど、大きな責任が伴うのです。原作の『アンサングシンデレラ』は、そうした私たちの仕事の本質を捉えて、患者さんが見えないところで何をしているのかを、現代的な物語としてわかりやすく表現しています」

 薬剤師の視点から見て共感できる部分も多いと、荒木氏は続ける。

「私は小児科の前の薬局で働いていて、お子様にお薬をお渡しすることが多いので、第1巻で描かれたクラリスロマイシンという抗生物質についてのエピソードは“薬剤師あるある”で共感しました。クラリスロマイシンの粉薬はお子様が飲みやすいように甘くできているのですが、酸っぱいものと混ぜると苦くなってしまうんです。原作者の荒井ママレさんは、薬剤師の現場をすごく丁寧に取材されているのだと感じました。また、第3巻で描かれる抗がん剤治療のエピソードは、薬剤師だからこそできる患者さんへのケアを心優しい物語に仕上げていて感銘を受けました。おじいちゃんとその息子と孫娘の3人家族が、がんの告知というデリケートな問題にぶつかり葛藤するのですが、主人公の葵みどりが副作用について優しく説くことで問題を解決へと導きます。薬剤師は、医師と患者さんの間の橋渡しをすることができる立場であり、薬のプロだからこそ取り除ける不安もあるんです」

 石原さとみが主演を務めることについては、どう見ているのだろうか。

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