北米大陸、知られざる森と湖の世界を旅する 大竹英洋初写真集『ノースウッズ ―生命を与える大地』

 写真家・大竹英洋が20年に渡り撮影を行っているノースウッズの写真を集めた写真集が、2月中旬に発売される。

 ノースウッズとは、北米の北方林、つまりアメリカとカナダの国境付近から北極圏にかけて広がる地域のこと。世界最大の原生林の一つでもあるこの地には、カリブーやオオカミ、ホッキョクグマなど、様々な野生動物が生息している。「生命を与える大地」として2018 年にカナダ初の世界複合遺産に登録された「ピマチオウィン・アキ」を含む恵みの大地。本書は、森と湖、そして氷が織りなす世界を旅した大竹が、瑞々しい感性で切り取った詩情あふれる写真を楽しむことができる。

賞賛に値する視覚芸術家としてのみごとな成熟…まさしく情熱の一冊だ。
――ジム・ブランデンバーグ(写真家)

彼のおかげで、私たちの物語にもうひとつの地平が、つけ加えられたのです。
――ソファイア・ラブロースカス(アニシナベ族) 

大竹英洋メッセージ

 自然の奥を旅して、その先に見えてくることを伝えたい。そして、人間と自然とのつながりについて、共に考えてゆきたい。大学時代に始めた山登りを通して、そんな願いを持つようになり、伝える手段のひとつとしてカメラを手に取りました。
 卒業後すぐの1999 年、日本では絶滅した野生のオオカミをこの目で見るために、アメリカのミネソタ州北部の森を訪れたのが、ノースウッズとの最初の出会いです。それ以来、情報もないまま森に分け入り、この地で生まれたカナディアン・カヌーを駆使して湖面に漕ぎ出すうち、フィールドはカナダの原野へも広がってゆきました。
 通うたびに新たな発見があり、多様な野生動物たちが、それぞれに環境に適応して生きている姿を目の当たりにしてきました。そして、雷による森林火災でさえもただの破壊ではなく、豊かな生態系を保つ大切な役割を担っていることを知りました。
 この地で狩猟採集の暮らしを営んできた先住民オジブワ族(自称アニシナベ)。彼らがなぜ、自分たちをとりまく自然を「ピマチオウィン・アキ=生命を与える大地」と呼ぶのか。その理由が、20年を経た今、ようやく少し理解できる気がするのです。
 動物も、草木も、人間も、さらには、岩や水、火や風や雪といった、あらゆる存在がこの地球から命を与えられ、生かされている。この写真集が、私たち人間にもう一度そのことを思い出させ、より良い未来について考えるきっかけとなることを願っています。

■大竹英洋(おおたけひでひろ)プロフィール
1975 年京都府舞鶴市生まれ、東京都世田谷区育ち。一橋大学社会学部卒業。1999 年より北米の湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに野生動物、旅、人々の暮らしを撮影。人間と自然とのつながりを問う作品を制作し、国内外の新聞、雑誌、写真絵本で発表している。主な写真絵本に『ノースウッズの森で』、『春をさがして カヌーの旅』、『もりはみている』など(以上全て福音館書店)。2011 年、NHKBS「ワイルドライフ」に案内人として出演。写真家を目指した経緯とノースウッズへの初めての旅を綴ったノンフィクション『そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ』(あすなろ書房)で「第七回 梅棹忠夫・山と探検文学賞」受賞。2018 年「日経ナショナルジオグラフィック写真賞 ネイチャー部門最優秀賞」受賞。
www.hidehiro-otake.net

■書籍情報
大竹英洋写真集『ノースウッズ-生命を与える大地-』
前文:ジム・ブランデンバーグ(写真家)
寄稿:ソファイア・ラブロースカス
(アニシナベ族、カナダ・マニトバ州ポプラ・リバー・ファースト・ネーション)
発売日:2020年2月中旬予定
予価:2,500円(本体)

 ■写真展情報
【写真家たちの新しい物語】 大竹英洋写真展「ノースウッズ-生命を与える大地-」
会期:2020年2月21日~3月5日
時間:午前10時~午後7時(最終日午後4時まで・入館終了10分前まで)
会場:富士フイルムフォトサロン東京スペース2
   〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-3 フジフイルム スクエア内
   TEL:03-6271-3350(受付時間10時~18時)
入場無料・会期中無休
<巡回展>
会期:2020年6月26日~7月9日
時間:午前10時~午後7時(7月2日および7月9日は午後2時まで・入館終了10分前まで)
会場:富士フイルムフォトサロン 大阪 スペース1
   〒541-0053 大阪府大阪市中央区本町2-5-7 メットライフ本町スクエア1F
   TEL:06-6205-8000(受付時間平日10時~18時)
写真展併催イベント
1.オープニング記念スライドトーク:テーマ「ノースウッズの野生動物」
日時:2月21日午後5時30分~・約60分
会場:写真展会場2階会議室
申込:参加無料・要予約(電話03-6271-3350・館内にて1月20日から2月19日まで受付)
定員50名(定員になり次第締切、席に余裕がある場合は当日受付)
2.ギャラリートーク
日時:2月22日~24日、2月28日~3月1日
各日2回開催・午前11時30分~/午後2時30分~・各回30分程度
会場:写真展会場内で実施
申込:参加無料・予約不要(座席なし)

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