G-FREAK FACTORY「一人で行く」――TOSHI-LOWに捧げた大合唱 バンドの生命力が脈打ったツアー『燈』Zeppレポ

G-FREAK、TOSHI-LOWに捧げた大合唱

 10月10日、Zepp DiverCity (TOKYO)。本来この日出演予定だったが、TOSHI-LOWの療養のため出演が叶わなかったBRAHMANのライブSE「Molih ta, majcho i molih」が爆音で流れると、観客たちの大歓声が沸き上がる。そして、ステージに姿を現した原田季征(Gt)、吉橋“yossy”伸之(Ba)、Leo(Dr)の3人。彼らがゆったりと演奏を始めると、ステージ袖から茂木洋晃(Vo)がセンターまで歩いてくる。飾り立てない佇まいで、彼はゆっくりとマイクの前に立ち、そのまま歌い始める。まるで「この音楽は生活と地続きなんだ」と伝えるように。しかし、曲がサビに突入すると一気にステージ上とフロアは熱狂的な空間へと変わる。音楽が日常を塗り替える瞬間。最高だ。『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』、その初日が始まった。続く「最後の少年」では観客たちのコールも聴こえてくる。会場の熱気はさらに高まる。

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)

 前述したように、この日は本来BRAHMANとの対バンの予定だったのだが、それは叶わなかった。しかしこの2組の対バンはいずれ観ることができるだろう。茂木はライブ前に出していたコメントでも、この日のMCでも「一人で行く」と言っていた。彼にとってバンドは“一人”と数えられるものなのだ。生き物なのだ。人間なのだ。確かにG-FREAK FACTORYの楽曲は命を持っているように蠢いている。曲自体が脈打ち、呼吸をしているように、そのリズムは動く。

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)
茂木洋晃(Vo)
『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)
吉橋“yossy”伸之(Ba)

 実際、彼らの音楽は生き物のように多彩でもある。3曲目に演奏された「FLARE」は、ラウドなギターサウンドとレゲエのリズムが混ざり合うことで生まれるヘヴィネスが空間を燃え上がらせ、「WHO UNCONTROL」では疾走するビートと伸びやかなメロディが颯爽と吹き抜けた。「REAL SIGN」ではバンドの演奏に観客たちの情熱的なクラップが重なることで高揚感が生まれ、「When The Country Was Young」では彼らの音楽に刻まれた哀切が熱狂の隙間から零れ落ち、観ているこちらの胸をじんとさせた。サポートキーボードの多畠幸良が奏でる旋律が美しく響いた「風」では、茂木の声に加え、観客たちの歌声も響いた。

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)
原田季征(Gt)
『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)
Leo(Dr)

 満員となったZepp DiverCity。集まった多くの人たちが彼らの歌を歌える。その事実が感動的だった。「Too oLD To KNoW」や「HARVEST」での観客たちの合唱も本当に素晴らしかった。

 激しさが飲み込む瞬間も、歌心が満ちる瞬間も、とても風通しがよく居心地がいい時間が流れた。「この居心地のよさは何だろう?」と考えてみると、もしかしたら、それはG-FREAK FACTORYが群馬を拠点にした“ローカルバンド”であることに繋がっているのかもしれない。人にはそれぞれの生まれた場所や、それぞれの生きる場所があることを、彼らは知っている。そんなG-FREAK FACTORYが生み出す空間だからこそ、居心地がいいのかもしれない。

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)

 この日のMCはやはりTOSHI-LOWとの話も多かった(茂木はTOSHI-LOWの物真似までしていた)。「傷んだ場所は、前よりも強くなり、太くなる。痛みなくして成長なしって50歳を超えて痛感する。……でも、これ以上“あれ”を強くしないでください」と茂木が言った時には、失礼だが思わず笑ってしまった。茂木はTOSHI-LOWと一緒に行ったという、コロナ禍でも店を開けてくれていた広島のお好み焼き屋で、ふたりで「もう客席に飛び込むのはやめよう」と決めたという。でも、「今日はいいよな」と、彼は客席に飛び込んで「ダディ・ダーリン」を歌った。「TOSHI-LOWのところは任せた」と観客たちに告げたその言葉通り、観客たちもまた、声を張り上げて「ダディ・ダーリン」を歌う。絶景だった。歌は、人間は、こんなにも強い。そう感じる瞬間だった。演奏が終わると茂木は言った――「みんなが歌ってくれたでっけえ声は、あいつに届いたと思うよ。ありがとう」。

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)

 ライブ終盤、「Unscramble」から始まった怒涛のラッシュの中では、まだタイトルも決まっていないという新曲も披露されたのだが、イントロからヘヴィなギターリフと高速ドラムンベースのようなビートが流れ出す目まぐるしい台風のような1曲で、早くも観客たちを熱狂的に飲み込んでいた。来年で結成30周年を迎えるG-FREAK FACTORYだが、細胞は活性化し続けているということだろう。本編は「らしくあれと」から「Sunny Island Story」の流れで締め括り。そしてアンコールでは「隠り唄(コモリウタ)」と「GOOD OLD SHINY DAY」が披露された。約2時間にわたるワンマンライブ。空間を包み込んでいたのは、圧巻の熱気と、優しいぬくもりだった。『橙』ツアーは、アコースティックセットの『灯』ツアーと並行しながら12月の群馬・高崎芸術劇場 スタジオシアターまで続き、来年1月からは新たなツアー、そして4月には初の日本武道館公演も控えている。まだ果たされていない約束もある。旅は続く。

『G-FREAK FACTORY Path to 30th TOUR “TOMOSHIBI” -燈-』(写真=上坂和也)

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