サバシスターが語る『“JUST PUNK ROCK TOUR”』の手応え 磨き上げたスタイルを武器に、最長ツアーで掴んだ強さと柔軟性

サバシスターがまたまた騒がしい。全曲タイアップソングのEP『働くサバたち。』と、初の単独ライブ映像作品『“JUST PUNK ROCK TOUR” Final Series 2026.04.03 at Zepp DiverCity』を9月2日に同時リリース。その直後からは新しいツーマン企画『Buddy Up!!!』もスタートするのだ。
もちろん新曲はポップでかわいい。タイアップ仕事を“働くサバ”と言ってしまうセンスも最高だと思う。ただ、バンド史上最長となった『“JUST PUNK ROCK TOUR”』、その始まり(※1)と終わり(※2)をレポートしてきたリアルサウンドでは、あえてツアーやライブに焦点を当てたインタビューを行った。結成から半年足らずで都内ライブハウスの台風の目となったこのバンドは、どんなタイミングで本気のツアーバンドへと変わっていったのか。メンバー3人が語る。(石井恵梨子)
ツアーを経て感じた成長と衣装へのこだわり
——『“JUST PUNK ROCK TOUR”』、初日と最終日を観せてもらいました。変化にびっくりしましたけど、自分たちでも実感はあります?
なち:そうですね。なんか気づかぬうちに、でしたけど。特にファイナルシリーズをやってる時はバンドが固まっていった感じがしました。
るみなす:半年以上かけて全国をまわるのも初めてだったので。技術以外にも、メンタルとか精神力もすごく鍛えられましたし。最後、大きいステージでやると自分たちでも成長を感じられて、純粋に楽しかったなって思います。
ごうけ:ツアーの時は毎回、前公演の動画をみんなで観て、どこをどうしたほうがいいか、もっと盛り上がるにはどうしたらいいかを話し合って、ノートに書いていったんです。それで曲の繋ぎ方とか曲順も変わって、だんだんいいライブができるようになっていったのかなと思います。

——初日、なちさんはツアーに向けた意気込みを語ってました。「このツアーでは泣かないことが目標」って。
なち:全然覚えてないです。
——もっと以前の話をすると、2024年の『覚悟を決めろ!ツアー』ファイナルでは思わず泣いちゃったなちさんがいて。その記憶もあったのかなって。
なち:そうかもしれないですね。
——今思うと、あれは何の涙だったんでしょう。
なち:ライブで泣いちゃうことはけっこうあって。自分の思い通りに歌えなかったり演奏できなかったり。一本一本大事なライブなのに、不完全燃焼で終わっちゃう、そういう時にすごく悔しくなって。だから、しっかりやろうっていう気持ちもあったけど、でもこの長いツアー、そこまで思い詰めずにやれたらいいなって気持ちもありました。「たかがパンクロック」っていうスローガンもあったし、アルバムのテーマがまず先にあったので。たぶんツアー初日は、そういう意味もあって話したんだと思います。
——「たかがパンクロック」っていう言葉を、ポンとスローガンにできたことが大きかった?
なち:そうですね。ライブごとに考えすぎちゃう性格だったので。それで結果的にいいライブができる時もあったけど、「こんなに苦しんでやる必要ないのかな?」と思うこともあって。そんな時に「たかがパンクロック」って言葉を(横山)健さんが言ってくれて。これは自分の中でも、常に頭の片隅に置いておきたい言葉だなって思いました。
るみなす:私はそれを言われた瞬間を見てないけど、想像して、勝手に自分もその言葉を受け取ったような気持ちになって。心がちょっと楽になるというか。そういう感覚はありました。
ごうけ:だから、ライブやるごとになちが強くなってるな、っていうのはありましたね。泣かなくなったこともそうだし。
——あと、このツアーから大きく変わったのは衣装のインパクトです。
なち:衣装は基本的に私が考えるんですけど、大きいツアーごと、あとはシーズンごととか、そういうタイミングで衣装を変えてきて。ワークシャツやTシャツだとしても、普通の私服よりはちょっと衣装っぽいものを選んできたんです。ただ、ストリートにいてそのままステージに上がるみたいな空気感も大事にしたくて。その中で、これまで選んでいなかったのはポロシャツだったので、コンバースを合わせるスタイルでやりたくて。ズボンも何種類か候補はあったんですけど、基本は市松模様をメインにして、同じ柄でステージ上に台を作ったり、フライヤーを作ったりしました。
——ありそうでなかった感じですよね。
なち:そうですね。こういうストリートなスタイルで、全員お揃いの衣装着てやっているバンド、あんまりいないと思うので。
——ベースのDくん(サトウコウヘイ)も同じ衣装。サポートだからって別扱いしない、そのことにもバンドの意志を感じます。
なち:そうです。初ライブから一緒だし。私は、スタッフさんも含めて、ステージにいる人の服装は気にかけたいタイプなんです。たとえば大きいワンマンの時は、スタッフさんも全員PIZZA OF DEATH(ピザオブデス)Tシャツで揃えるとか。フロアからステージを観た時に完璧でありたいというか、サバシスターのステージに必要のないものは置きたくないって感じですね。

——ステージにおける視覚的効果、魅せることに対する意識が高いなって、今話してて思います。
なち:そうですね。言語化するのは難しいですけど、毎回アルバムを出したり新しい音源を出したら、なんとなく季節も考えたうえで、次はこういう服が着たい、こういうステージの照明にしたいとか、いつもふんわりと頭の中に浮かんでいる感じです。
——パンクロックやストリートのバンドって、ステージ衣装や演出を否定する人も多いんです。「そのまま、生身で出ていってナンボでしょ」みたいな。でもサバシスターはそうではないし、パッと目に飛び込んでくるポップアイコンの部分を大事にしている。
なち:そういうのが好きだし、サバシスターとしてのキャラクターを印象づけたい気持ちはありますね。フェスだと一回観てくれた方が「あ、この服着てる子たちね」って覚えてくれたりするだろうし、だからこそ色もハッキリしたものを使ったり。戦隊ものじゃないけど、このメンバーでサバシスターっていう色を出していきたい。そこは大事にしたいと思っています。
るみなす:最初からみんな、キャラクターはちゃんと出していきたい気持ちがあったと思いますね。最初に揃えた衣装はCHUMSの半袖のラグランTシャツだったんですけど、あれで自分の色とか方向性がなんとなく決まって、そうなると各々の個性がより強く出ていった感じもあって。
ごうけ:私もそういうガールズバンドをやりたくて。昔から理想がありましたね。それぞれ違うアイコン、違う個性のある人たちが一緒にやっているバンド。だからなちが次々と衣装とか「こうしたい」って言ってくれること、いいことだなと思ってます。
——アイコン化したサバシスターって、かわいいですよね。
一同:(頷く)。
——あ、これは褒め言葉として受け止めてくれます?
なち:はい(笑)。

——ガールズバンドって、ガールズと言われることに反発して、「ナメんな」って構えることも多い。それは私も理解できるんです。ただ、サバシスターは女子であることを楽しんで、かっこよく逆手に取ってる感じがして。
なち:はい。もちろん「ナメんな」って気持ちもあるけど、私たちはピザオブデスで初めての女子のバンドで。たとえばツナギの衣装だったらBBQ CHICKENSのパロディだけど、そういうことも真似してやってみたい気持ちがずっとあったんですね。ただ、これが男子3人組だったら、ほんとうにただ同じことやってるだけになっちゃうかなと思うんです。女子3人だったから、そこを面白く、かわいくやれる。それはすごく強みだと思ってます。
——大袈裟に言うと、ガールズバンドの見られ方を変えたい?
なち:んー、サバシスターは最初から、女子だけで固まらないし、男のバンドの中にもしっかり混ざってやっていくって決めてたんですね。自分たちとはジャンルの違う、もっとイカつい男の人たちと今もツーマンやったりするし。だから、ガールズバンドの、っていうことじゃなくて、サバシスター自体がもっと面白く見えたらいいなって。もっといろんなジャンルやいろんな年齢層の人に届いてほしいなっていう気持ちだと思います。
——実際、客層は幅広いですよね。ひとつの属性では全然括れない。
ごうけ:会場が広いとステージも高いから後方まで見えるんですけど、いろんなお客さんが来てくれているのを実感します。子供が2階から観てたり、衣装を真似して来てくれる子もいて。もちろん暴れたい人もいるし、落ち着いて観たい人もいる。ちゃんとみんなに居場所があって、いろんな人たちが来てくれてる。それはこのツアーで思ったことですね。
るみなす:私、最初の頃はコーラスしたりギターを弾くのに精一杯で、あんまり前を見れていなかったんですね。でもツアーを続けていくと余裕が出てきて、お客さんの笑顔とか、一緒に歌ってくれる姿がちゃんと目に入るようになってきて。人と目を合わせるのも昔は得意じゃなかったんですけど、私たちのことを好きで来てくれる人たちには直接感謝を伝えたいし。積極的に目を合わせて、コミュニケーションを取るようになっていきましたね。



















