きゃりーぱみゅぱみゅ、絆を紡ぎ歩んだ15年間 先輩/後輩に囲まれて、“続けること”で見えた『PAMYU FES』の景色

 きゃりーぱみゅぱみゅが主催する初のライブフェスイベント『PAMYU FES 〜Kyary Pamyu Pamyu 15th Anniversary〜』が、8月22日にぴあアリーナMMにて開催された。

 8月17日でデビュー15周年を迎えたきゃりーが、「大好きなアーティストを呼んでフェスを開きたい」という思いのもと、今回の『PAMYU FES』が実現した。新しい学校のリーダーズ、氣志團、木村カエラ、FRUITS ZIPPER、MONGOL800ら全5組が集結し、きゃりーのデビュー15周年を祝福。彼女のキャリアのこれまでとこれからを繋ぐ、愛に溢れたフェスとなった。

FRUITS ZIPPER

 トップバッターを務めたのは、ASOBISYSTEMの後輩にあたるFRUITS ZIPPER。KAWAIIカルチャーを示すグループの代表曲「かがみ」「わたしの一番かわいいところ」、〈竹下通り〉〈原宿〉といった歌詞が楽曲にある「完璧主義で☆」にて、きゃりーと同じ、ひいてはASOBISYSTEMがコンセプトに掲げる「原宿から世界へ」を発信するアイドルグループであることにあらためて気づかされる。

 「RADIO GALAXY」「センセーション」ではクールなFRUITS ZIPPERの “NEW KAWAII”を表現。一転して、最新曲の「1,2,3,FOOOOUR」ではメンバーの満面の笑みに、集まったファンの手が左右に大きく揺れる。月足天音は椅子に座った動きを制限してのパフォーマンスとなったが、「はちゃめちゃわちゃライフ!」では鎮西寿々歌がちょっかいをかけにいく場面も見られた。MCのメインを務めた真中まなは、敬愛するきゃりーへの思いだけでなく、イベントで共演するたびに優しく迎え入れてくれるきゃりーのファンへの感謝を口にし、「きゃりーさんのようなスーパースターになれるように頑張ります!」と宣言。ラストは「超めでたいソング〜こんなに幸せでいいのかな?〜」できゃりーの15周年を盛大に祝福した。

木村カエラ

 木村カエラは「リルラ リルハ」「Butterfly」といった代表曲を惜しみなく披露。エレキギターを掻き鳴らす「BEAT」ではきゃりーへのお祝いの言葉とともに「横浜ー!」とカエラにとって“ホーム”である横浜の地を叫ぶ。きゃりーが高校生の頃に開設したブログを通じて、カエラは「面白い子がいる」ときゃりーを発見。そこから更新されるのを楽しみにしていた読者のひとりだったという。

 今年6月のデビュー22周年記念日にリリースされた新曲「はぎゅ me」では、自分を抱きしめる振り付けで集まったファンの自己肯定感をアップ。〈愛しているよ〉のロングトーンが会場に響き渡る。「Jasper」では、カエラときゃりーのコラボが実現。きゃりーの楽曲「PONPONPON」とキーが同じということから、「Jasper」に合わせて「PONPONPON」を歌うパフォーマンスに挑戦し、なんとか成功すると思わずふたりは「できた!」と歓喜する。ラストは初期のロックナンバー「TREE CLIMBERS」でカエラが踊り狂い、「Magic Music」ではその歌声に“みんなの笑顔”が咲いた。

新しい学校のリーダーズ

 ASOBISYSTEMの後輩で、きゃりーと同じくワールドワイドな活躍を見せている新しい学校のリーダーズ。ライブの口火を切るアンセム「Go Wild」やマスターピースの「オトナブルー」だけでなく、7月にリリースしたばかりの4thフルアルバム『From Tokyo with Love』からの楽曲を中心に展開していく。

 メンバーのKANONが腰痛のため、この日はSUZUKA、MIZYU、RINによる3人体制でのパフォーマンスに。KANONの思いを乗せて、3人はいつも以上のエネルギーでステージを縦横無尽に駆け巡っていく。ロックサウンドに乗せてホームタウン・東京を歌う「TTTTOKYO」、「UTAGE HIKARU」からシームレスに繋がる「Pineapple Kryptonite (Yohji Igarashi Remix)」ではSUZUKAとMIZYUによる“MIZYUバイク”が炸裂。普段はKANONが担当する旗振り役をMIZYUが務めた。「Tokyo Calling」で拳を突き上げ一体感を生むと、ラストソング「One Heart」でSUZUKAが客席に降り立つ。目の前にいたふるっぱー(FRUITS ZIPPERのファンの呼称)にマイクを預けたり、自身の履いていた靴下をプレゼントしたりしながらアリーナを周り、「あんたの人生、今までもこれからも最高だぜ!」とサムズアップ。最後は3人で大きなハートを形作り、会場の心をひとつにした。

MONGOL800

 沖縄から南の風を吹かせに来たMONGOL800は、名曲「あなたに」、そして会場に大合唱が起こった「小さな恋のうた」といった楽曲ではシンプルなスリーピースバンドとしての形を示しつつ、今年春にリリースされ、現在そのツアー真っ最中であるコンセプトアルバム『etc.works4』からのカバーを中心にした楽曲では、サポートメンバーを迎えたエンタメ色全開のMONGOL800を見せつける。

 サポートギター、ホーン隊“THE BRASS BROTHERS”のふたりに加え、ステージ上で異色を放つのは、パーティーダンサーの“粒さん”こと粒マスタード安次嶺。「にんじゃりばんばん」を意識してか、シュシュシュと手裏剣を飛ばすそぶりをしながらステージをはけたり、「つけまつける」「ファッションモンスター」のダンスで笑いを取ったりとやりたい放題。安室奈美恵 with SUPER MONKEY'Sのカバー「TRY ME ~私を信じて~」のイントロでは、メンバー全員が楽器を置きパラパラをダンス。そこからスカパンクアレンジへと雪崩れ込んだあと、キャップにアロハシャツ姿という沖縄スタイルのきゃりーが登場し、粒さんとともにパラパラを披露した。ラストは初期からのライブチューン「DONʼT WORRY BE HAPPY」で会場全員がスカダンス。 “沖縄KAWAII”から“木更津KAWAII”の氣志團へとバトンを繋いだ。

氣志團

 主催フェス『氣志團万博』をはじめ、数多くのフェスに出演してきた百戦錬磨の氣志團は、MONGOL800にも負けないエンタメ性抜群のステージで持ち時間の40分を駆け抜ける。ドラムソロから、團長の綾小路翔が族仕様のカスタムバイクで登場。まるで楽器を奏でるようにして、エンジンの空ぶかし音でリズムを刻む。「喧嘩上等」を皮切りにして、きゃりーも出演した袖ケ浦海浜公園での『氣志團万博』に思いを馳せる「房総魂」、メンバー全員で和太鼓を打ち鳴らす「汚れなきクソ野郎ども」のパフォーマンスは圧巻の一言だ。

 綾小路が初めてきゃりーと会ったのは、15年前に福岡で開催された『Sunset Live』でのこと。そのとき、きゃりーはまだデビューしたばかりだったが、綾小路曰くすでに“覇王色の覇気”(漫画『ONE PIECE』に登場する特別な力)を纏っていたという。たびたびSNSを賑わせているQRコードを用いた撮影チャンスもあり。お待ちかねの「One Night Carnival」では、きゃりーぱみゅぱみゅ“総長”が特攻服にサングラス姿で降臨。きゃりーが〈「俺んとこ こないか?」〉とお馴染みのセリフを決めると、綾小路が「行こうぜ 15周年の向こうへ!」と祝福。ラストは着ぐるみ総出演の「ジャンボリーカーニバル」で華やかに締めくくり、清水宏次朗「Love Balladeは歌えない」をバックに、綾小路は再びバイクに跨りアクセルコールを響かせながらステージを後にした。

きゃりーぱみゅぱみゅ

 5時間半にわたるフェスのトリを飾る、きゃりーぱみゅぱみゅ。キラーチューン「ファッションモンスター」で幕を開け、フロアにヘドバンの波を起こしていく。特筆すべきは、FRUITS ZIPPER、新しい学校のリーダーズとのコラボだ。今年リバイバルヒットを起こした「キミに100パーセント」をFRUITS ZIPPERとパフォーマンス。5月の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に続くスペシャルステージであり、お互いへのリスペクトが滲む愛に溢れるコラボだったように思う。さらに、きゃりーキッズとしてきゃりーのバックダンサーを務めていた新しい学校のリーダーズのMIZYUが「にんじゃりばんばん」で登場し、途中からはSUZUKA、RINも迎え入れられた。MIZYUのキレキレのダンスが敬愛する“きゃりー様“への思いの強さを表している。

 始まりの楽曲である「PONPONPON」、〈あの交差点から始まった〉という一節が原点を思い起こさせる「原宿いやほい」とキラーチューンで締めくくられる一方で、セットリストにはあまりライブで披露したことのない「OEDOEDO」や中田ヤスタカへの感謝とも取れるCAPSULEのカバー「dreamin dreamin」、デビュー15周年シングル「Focus Focus」といった最新のダンスナンバーが並ぶ。なかでも、この日初披露となった「月姫」はきゃりー史上最もロマンティックで儚いラブソング。これまでのアッパーな楽曲とは異なる、新たなきゃりーの世界観を予感させる。

 既報の通り、自身の誕生日である1月29日に6枚目となるニューアルバムのリリース、さらに2027年3月より全国ツアー『きゃりーぱみゅぱみゅ 15th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2027』の開催が発表になった。出産から2年が経ち、中田と密にレコーディングをしながら、「月姫」のようないい楽曲が溜まっているときゃりーは嬉しそうに話す。

 筆者が忘れられないのは、ライブ冒頭で機材トラブルによりステージが一時中断してしまった際、きゃりーを呼ぶファンの声援の心強さだった。あたりを見回すと長年応援してきたであろう風格のファンから、小さな女の子まで、その幅広さに驚かされる。FRUITS ZIPPERや新しい学校のリーダーズもまた親子でライブに参加するといった形は多いが、きゃりーの場合ファンが子どもを産み、その子どもたちも一緒にファンになっているのではないか、とあくまで想像だが考えを巡らせた。

 15年。何かひとつのものごとを続けるその難しさは、歳を重ねる毎に実感していく。バンドが、ユニットが、シンガーが、活動に区切りをつけるなかで、きゃりーは立ち止まりながらでも進むことを諦めなかった。木村カエラは「続けるってすごい力になるんだなっていうことを実感しています」「楽しんで続けたもん勝ちだなと、そんなふうに人生思っております」ときゃりーの15年を讃えた。また、新しい学校のリーダーズのSUZUKAは「続けるって簡単じゃない! きゃりーさん尊敬します!」と叫び、MONGOL800のキヨサクは『CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ Chapter #0 ~Touch Your Heart~』(TOKYO FM)での対談のなかで、きゃりーを「好きなことを続けながら進化している、芯があるアーティスト」だと称賛している。

 「楽しいことを追求して、突き進んでいきたいと思っております」というきゃりーの最後の挨拶は、先輩/後輩たちの言葉を受けてのものに思えてならない。きゃりーの15周年イヤーはスタートしたばかり。母として初めて開催する全国ツアーに新たなフェーズを感じつつ、そこには変わらず私たちをワクワクさせてくれるアイデアが詰め込まれているはずだ。

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