改名に懸ける未来「嘘がないと自信を持って言える」 YUTORI-SEDAIからYU'Sになるまでの物語

これまで多くのものを望み過ぎていた(金原)

――新しいバンド名を冠したEP『YU'S』も完成しました。

金原:今回収録されている4曲はすべてキャラクターの違う楽曲ですが、どれも全部自分の経験や感情に基づいた歌詞しか書いていないので、そこに嘘がないと自信を持って言えるEPになればいいなと思って作ったし、実際そうなったなと思っています。なかでもリード曲「あなたへ」には、聴いてくれる人へいちばん伝えたい思いを込められたと思います。

――制作にあたって、今までと違うことはありましたか?それとも、そこは変わらずでしたか?

金原:歌詞への向き合い方がだいぶ変わりました。「あなたへ」という曲は特にめちゃくちゃ時間がかかって、何度も書き直しました。うまいことを言おうとしてしまう自分がどうしても出てきてしまって。自分で「この比喩表現、いいな」と思うこともあるんですけど、僕たちが本当にやりたいのはそういうことじゃないというか。拙い言葉でもいいから、自分の思っていることを、相手がどう受け取るかを考えながら大切に書くことがいちばん大事だなと思った。うまく書くとか、かっこつけた表現とかじゃなくて「直接語りかけるならこんな言葉遣いはしないよな」ということを神経質に突き詰めていったEPになったなと思います。

――リード曲「あなたへ」でいえば、歌い出しの〈“もう駄目だろう”なんてさ、また考え出してる〉というフレーズは特にハッとしました。

金原:これも、今までだったら言えなかった言葉だと思います。今までは「弱音から入っちゃダメだ」「そんな人に誰もついていきたいと思わない」と変に考え過ぎて選ばなかったと思う。だけど自分が実際に感じている弱音だったら、言ったほうが同じように悩んでいる人が「ひとりじゃない」と思えるんじゃないかなと。そういうことを考えながら作った結果、すごく自分とも向き合うことになりました。

――そんな思いのこもったリード曲「あなたへ」を初めて聴いた時、おふたりはどのような印象を持ちましたか?

上原:歌詞に悩んでいる姿は身近で見ていたので、歌詞まで入った状態で見た時は「絶対に“あなた”にまっすぐに届く曲だな」と思いました。僕も共感できましたし、「このタイミングで出すべき曲だ」とも思いました。

櫻井:自分は歌詞が乗る前の状態から温かい印象を受けて「どんな歌詞になるんだろう」と楽しみでした。歌詞はレコーディング当日まで悩んでくれていたので、最終的な歌詞を読んだ時は自分にも刺さるし、聴いた人、一人ひとりに届く歌詞だなと感じました。リリース後の反応も楽しみです。

――〈あなただけに歌えたらいい〉なんて、こんなにまっすぐに歌われたら刺さらないわけないですよね。

金原:これまで多くのものを望み過ぎていたなと思っていて。これまで「結果を出さないといけない」とばかり思っていて、聴いてくれる“あなた”のことを蔑ろにしていたなと気づいた。自分にベクトルを向け過ぎていたな、と。目の前のあなたを大事にしないと、自分が思い描く未来はないだろうと心から思ったんです。むしろ「もし僕らが望むような結果が出なかったとしても、あなたさえいてくれればいい」と心から思ったので、それを素直に書きました。

YU'S史上唯一のメンバーに向けて書いた曲「yume」

――「yume」もかなり思い入れがある曲だと冒頭でお話がありました。この曲はライブでは歌われてきた楽曲ですね。

金原:この曲は唯一メンバーに向けて書いた曲で思い入れも強い曲だったので、出すタイミングはここぞという時にしたいとずっと思っていました。ちょっと恥ずかしいんですけど赤裸々に話すと……もう何年も前のことなんですが、櫻井が「バンドをやめたいかも」と言ったことがあって。その時に、「当たり前のように3人でやっていたけど、一緒にバンドをやれていることって特別なんだ」とすごく痛感したんです。その当時の気持ちをそのまま書いたのがこの曲です。ふたりがいてくれること、お客さんがいてくれることも当たり前だと思わないように、大切にしていきたいなって。さくちゃんはこの曲を初めて聴いた時、泣いたらしいです。

櫻井:はい(笑)。スタジオでリハーサルをしていた時に泣きました。この曲は自分にとってはずっと大事にしていきたい曲ですし、お客さんにとっても大事な曲になればいいなと思っています。

――今回音源化するにあたって、レコーディングではどのようなことを意識しましたか?

金原:僕たちはシンセサイザーやピアノなど、3人以外の楽器の音も入れることが多いんですけど、この曲は絶対に3人の音だけにしたいというふうに思いました。華やかさを出すなら、いろんな音を入れたほうがいいのはわかるんですが、この曲に関しては3人の音以外いらないと思ったので。あとは歌詞やアレンジに若干の変更はあるものの、極力当時のものから変えていません。そこもこだわったポイントでした。

――逆に言うと当時から思っていることが変わっていないということですよね。バンドの状況は作った当時と違うと思いますが、夢に向かう気持ちやメンバーと一緒に音を鳴らす喜びは変わっていないんですね。

金原:変わっていないです。自分でも気づかなかったんですけど、歌詞を読んで「俺、変わってない!」「最高!」と思いました(笑)。

――(笑)。おふたりはこの曲を演奏するうえで、レコーディングする上ではどういうことを意識しましたか。

上原:この曲は大事なライブでは絶対に演奏していて、しかもライブでどんどん成長していっている曲。だからライブの荒々しさや勢いを意識して、ベースはいつもよりちょっと音を歪ませたりして、ほかの曲より“バンド感”を出しています。

櫻井:僕は……「気持ち!」って感じでレコーディングしました(笑)。今も聴くたびにいろんな場面を思い出す曲なので、聴くタイミングを間違えると泣いちゃうかも(笑)。

すべての人に聴いてもらえる音楽でありたい(金原)

――ほかにも、本作のお気に入りのポイントはありますか?

櫻井:僕は「彼氏募集中」です。この曲はポップな曲調なのに、意外と歌詞が切ないんです。そんな女の子の切なさを表現したいと思って、特にラスサビは感情的なドラムを意識しました。歌詞を軸にドラムのフレーズも作れたかなと思います。

上原:「彼氏募集中」は、僕も同じく曲中の登場人物の心情を表現するように、最後のサビをエモく弾いているので聴いてほしいです。「あなたへ」はDメロって言うんですかね、〈この時間がいつか、あなたの事を/照らす力に変わるように〉のところのベースに注目してほしいです。

金原:その2曲のことで言うと、個人的には歌い方にも注目してほしくて。特に最後のサビは、彼女の本音があふれ出るような感じにしたつもりなので聴いてほしいです。最後の〈さよなら〉は何パターンも録ったんですよ。そのなかから選ばれたひとつなので気に入っています。「あなたへ」も、ニュアンスをすごく意識して歌いました。息遣いやエッジボイスを意識して使ったので、歌い方にも着目してもらえたらうれしいです。

――改名した今、バンドとしてはこの先どんなバンドになっていきたい、どんな活動をしていきたいと思っていますか?

櫻井:最終的には日本を代表するアーティストになりたいという思いは変わりません。ただ芯の部分で、“あなた”一人ひとりに寄り添う音楽を、本当の意味で等身大な気持ちで届けていける……そんなバンドになりたいです。

金原:もちろん大きな会場でライブをしたいとか、細かく挙げればきりがないくらい、目標はいろいろありますが、とにかく年齢や性別を問わず、すべての人に聴いてもらえる音楽でありたいと思っています。ただそれよりも、今会いにきてくれる人をとにかく大事にし続けることが、いちばんかもしれないです。

――ちゃんと一人ひとりに寄り添っていった結果、その国民的なバンドになっていくというか。

金原:そうだと信じています。

――ちなみに、今作は人生観やバンド観を歌った曲が多いですが、恋愛の曲はこの先も歌っていきますか?

金原:もちろん! なんなら増えるかもしれません。歌う気満々です! 今回はバンド名が変わるタイミングということで、自分たちの覚悟を見せたくて生き様系の曲が多くなりましたが、恋愛ソングとしても聴くことができるようにはなっていると思いますし、これからも変わらず恋愛ソングも歌っていきます。何せ僕も、恋愛ソングが大好きなので!

■リリース情報
New Digital EP『YU'S』
配信中

配信URL:https://YUS.lnk.to/YUS

<収録曲>
01. 彼氏募集中
02. 嫌になっちゃうよ、
03. あなたへ
04. yume

■ツアー情報
東名阪 対バンツアー『YU'S TOUR 2026 "Just for you"』

11月20日(金)大阪・梅田Zeela
OPEN 18:30/START 19:00

11月25日(水)愛知・ell.SIZE
OPEN 18:30/START 19:00

12月16日(水)東京・新代田FEVER
OPEN 18:30/START 19:00

※全箇所ゲストあり(後日発表)

YU'S オフィシャルサイト:https://yus.main.jp/
X:https://x.com/yutorisedai3man
Instagram:https://www.instagram.com/yutori_sedai_band/
YouTube:https://www.youtube.com/@YUTORISEDAI

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