THE ALFEE「活動を続けていかなければ生き残れない」 結成50年を超えて見つけた新たな使命を語り合う
老舗の味は変えちゃダメ。長年引き継がれた秘伝のタレは、ずっと使わないと(高見沢)
――歌詞に関しては、映画の内容がわからないわけなので、先ほどのイメージから膨らませていくしかないわけですよね。
高見沢:映画の制作チームからは「映画のストーリーと歌詞が必ずしも合致する必要はない」と言われていました。ただ、『免許返納!?』というタイトルの映画ですから、このワードは歌詞の中でも使いたいなと思って。免許、つまりドライバーズライセンスを返納することを、男女の愛の免許を返納するということに置き換えて、ちょっと面白おかしく考えてみました。そこに、信号だとか交差点(=Crossroad)だとか、車にまつわる小道具も織り交ぜて、最終的に「Crossroad -愛の免許返納-」というタイトルにたどり着いたわけです。
桜井:サウンド的にも「こうきたか!」というイントロから始まってかっこいいですし、歌詞も非常に面白い視点だなと思いましたよ。実際、映画を観たらうまいことハマったなと思いましたし。
坂崎:シングルでここまでブラスが鳴り響いているのは、「サファイアの瞳」(1987年)以来かもしれないよな。
――ほぼ40年ぶりってことじゃないですか!
坂崎:ね。その間、生ブラスを使った曲がなかったってことですから。ブラスっぽい音が入っている曲はほぼシンセで代用していたから、そういう意味でも新鮮でしたね。シンセだけに(笑)。
桜井:座布団、全部持っていこうか(笑)。
坂崎:(笑顔)
高見沢:実写映画の主題歌も映画『将軍家光の乱心 激突』(1989年)の「FAITH OF LOVE」以来なので、実は約37年ぶりなんですよ。
――アニメ映画やテレビドラマの主題歌が続いていたので、実写映画となるとそんなに空いていたんですね。タイトルに用いられた「Crossroad」は洋楽ロックやブルースでよく使われるワードのひとつですが、「こういう解釈で採用することもあるんだな」と新鮮でした。
高見沢:「Crossroad」といえば、僕らの世代はCream(「Crossroads」)しかないですよね。ライブ盤(1968年発売のアルバム『Wheels Of Fire』のDISC 2『Live At The Fillmore』)でのエリック・クラプトンのギタープレイが最高なんですよ。
――わかります。ロバート・ジョンソンの原曲をあそこまで激しく、スリリングにアレンジした最高のカバーですものね。「Crossroad」というワードを耳にしたら、まさしくこの曲が思い浮かぶだけに、今回の「Crossroad -愛の免許返納-」が70年代のChicagoを彷彿とさせるブラスロックだったことに驚いたんです。
高見沢:わかります? もちろん、あの頃のブラスロックバンドが持つドライブ感っていうのは、今回だいぶ意識しましたよ。今聴いてもめちゃくちゃかっこいいですからね。で、そこにTHE ALFEEらしいメロディとハーモニーが重なることで、一気に“らしく”なるって感じにしました。
――しかも、カップリング曲「ダンディズム」もブラスサウンドを前面に打ち出したアレンジですし。
高見沢:そうです、同じく生ブラスを採用していて。こちらも70年代的なブラスロックの色合いが強いけど、サビに入った瞬間に自分たちらしさが強く打ち出される。そういう、誰もが思うTHE ALFEE感というのは絶対に失いたくないんですよ。サウンド的にはいろいろ冒険はしますけど、最終的に老舗の味は変えちゃダメ。長年引き継がれてきた秘伝のタレは、そのままずっと活かしていて使わないとね。
――50年以上煮詰めて継ぎ足してきたタレを、今も欠かさず使い続けていると。
高見沢:でもさ、よく「江戸時代から継ぎ足して使い続けている老舗のタレ」ってあるけど、あれ本当なのかなあ。
坂崎:継ぎ足しても、おいしくはないらしいね。それよりは、新しく作ったほうがおいしいっていう話もあるし。
桜井:継ぎ足したって結構使っちゃうわけだから、結局は新しいタレの比率が高くなるだろうし。
坂崎:そういうことだよね。
――ということは、THE ALFEEの“秘伝のタレ”も50数年間継ぎ足しを重ねて、今や完全に新しいものになっているのかもしれませんね。
坂崎:声の質感とか重ね方も、歳を重ねるにつれて変化しているところもあるでしょうし。ただ、3人のパートが変わったり3声の積み重ね方が違っていても、最終的にはTHE ALFEEになる。そこは不思議ですよね。
国際的な“TOKYO”ではなく、下町の“東京”で言う「ダンディ」(坂崎)
――カップリング曲「ダンディズム」の落ちサビで、桜井さんのソロボーカルに坂崎さんのアコギのアルペジオと高見沢さんのエモーショナルなギターフレーズが重なる、ああいう感じも個人的にはすごくTHE ALFEEらしいなと思いました。
高見沢:ありがとうございます。僕らはアコースティックグループから始まっているので、今もそういう要素はしっかり打ち出したいなと思っていて。そこも、いわゆる“秘伝のタレ”的な要素なのかもしれないですね。
――その「ダンディズム」ですが、舘さん主演映画の主題歌シングルだから、カップリングにもこういうタイトルが用いられたのかなと邪推したんですが。
高見沢:まさにそういう理由で作った曲ですよ。舘さんが演じる主人公も、若い頃はギンギンに遊んでいたけど、今はバーで知り合った女性をナンパするでもなく、一緒に飲んで語らって、そして帰っていくみたいにちょっと落ち着いている。そういう、僕らの世代がイメージするダンディズムを舘さんに投影して描いたのが、この曲なんです。
――そういう曲を、THE ALFEEのダンディズムの象徴的な桜井さんが歌うという。
桜井:いやいや、俺は全然ダンディじゃないんだけど……。
高見沢:ダメだよ、おまえがTHE ALFEEのダンディ担当なんだから。
坂崎:私は汚れ役担当だし。
桜井:ははは。そうだったな(笑)
――(笑)。
桜井:具体的にどういったことがダンディなのかはわからないけど(笑)、歌の世界がそういうふうになっているわけだから、自分が思うダンディを素直に歌に入れたつもりなんですけど、なかなかちょっと難しいところはありますよね。
坂崎:要するに、“品”とか“粋”ってことですよね。僕は生まれも育ちも東京の下町なので、子どもの頃からまわりのおじさんたちが“粋”とか“野暮”とかよく言ってるわけですよ。国際的な“TOKYO”ではなく、下町の“東京”で言う「ダンディ」は、そういうことなのかなって気がします。その一方で、舘さんなんかは品も含めて、“TOKYO”のダンディズムを持った方だと思うんです。スタイル含めて完璧で、僕らにはないものをたくさん持っている方ですから。
――サウンド的な“品”で言うと、THE ALFEEの場合は繊細なアコースティックギターを常に取り入れているところかな、と。
坂崎:そう言ってもらえるのは嬉しいですね。この曲みたいに(リズムが)跳ねていて、マイナーキーでブルージーな感じは、意外と得意なので。今回も高見沢がデモに入れた仮のギターを聴いて、「ああ、こういう感じか。じゃあ、ちょっと得意なところをお見せしようか」と、そんな感じでしたね。
高見沢:そういう坂崎のテイストこそが、実はTHE ALFEEならではの個性であって。それを出さない手はないですしね。
――そういう繊細さもありつつ、実は「ダンディズム」って意外と演奏が激しいんですよね。
高見沢:そうですね。ギターも「Crossroad -愛の免許返納-」よりも歪んでますし。あっちがChicago風だとしたら、こっちはBad Companyのフレーバー強めかもしれないですね。