日野健太が見せた音楽への圧倒的な愛 ソウルフルな歌でハッピーな高揚をもたらしたワンマン公演『New Day, New We』
7月25日、下北沢 ADRIFTにて、日野健太が『KENTA HINO ONEMAN LIVE “New Day, New We”』を行った。ソウルフルな歌声とともに、ハッピーな空気が広がっていた2nd SHOW(夜公演)の様子をレポートする。
オープニングSEとともにバンドメンバーが登場すると、早速6月3日にリリースされたばかりの新曲「New Day, New Me」のイントロが流れ始める。ステージに日野が登場すると、客席からは大きな歓声が。一気に熱気を帯びたところで、「さぁ下北沢、始めましょう!」と笑顔でライブをスタートさせた。日野は観客と目を合わせたり、手を振ったり、とにかく楽しそう。音楽、そしてライブを心から楽しんでいることが冒頭からビシビシ伝わってくる。続いたのは、エモーショナルなR&Bナンバーである「I ain't got to love」。低音で艶のある歌声とパワフルさ、メロウなサウンド感で観客たちを一気に引き込んでいった。
ここで「僕の名前は日野健太と申します。元気かよ!」とおなじみのフレーズで自己紹介。客席からは「元気だよ!」と声が返り、日野は「元気そうでよかった。それを知れてよかった!」と笑顔を見せる。「今日は2部あって、昼間の日野健太も登場したんですけども、2部は僕が一番操れる夜ということで、楽しく始めていきたいと思います」と語り、「Smooth In Motion」へ。ライブならではのアレンジは音数が絞られており、日野のハスキーな歌声がより味わえる印象だ。「オリジナルソングもカバーソングもやるので、僕のすべてを知ってください。今日、世界を変えちゃいます」と、「Change the World」(ワイノナ・ジャッド/エリック・クラプトンによるカバーも有名)をスタートさせる。日野がボーカルアレンジを加えるたび客席からは大きな歓声が上がり、ダンスフロアのような熱気が広がっていた。その様子を見た日野は「お楽しみいただけましたでしょうか? 夜(の部)すごいな。みんなお酒飲んでる? (客席の熱気に)負けそうなんですけど(笑)」と、その盛り上がりに思わず驚く。
この日は、キーボード(千葉岳洋)、ドラム(原島燎平/from halfPale)、DJ(KAZUMA HIRAO)といういつもと違った編成。少人数ゆえの自由度の高さ、ドラムとDJによる生っぽいリズム感、キーボードが加わることで生み出される洗練されたサウンド感などが目立ちつつも、日野の歌声はしっかりと前に出ている印象だ。日野は「いつも音源で歌っているのとは違ったアレンジ。今日というライブで聴いた音、グルーヴ、歌は今後二度と聴けないので。たっぷり引き続き楽しんでいってください」と思いを伝えた。ステージが赤い照明に包まれて始まったのは「Higher Ground」(スティービー・ワンダー)。原曲とはまた違ったスタイルで魅了する日野のボーカルワークは、まるで音楽と遊んでいるかのよう。圧倒的な歌唱に聴き入っていると、「ここから雰囲気を変えていきましょう」と言って観客にハンズアップを促しながら「Play On」へ。マイクスタンドからマイクを外し、ステージ上を動き回りながら自身も手を上げたり、ジャンプをしたりしながら楽しんでいる様子が印象的だった。
大盛り上がりの後、椅子に腰掛けた日野。「皆さんに届けたい曲をチョイスしました」「この曲は、日頃応援してくださったり、ここに来てくれているみんなに毎日歌いたい曲。手紙を歌っているような曲なんです。もしお金があれば君と住める家を建てたい。芸術の才能があれば君の絵を描いてプレゼントしたいし、楽しませる才能があれば君を毎日笑顔にさせることができるんだけど、僕には何の才能もなくて。できることは歌を書いて君に送ること。そういう歌です」と語って、「Your Song」(エルトン・ジョン)を歌い始める。表情や声色のつけ方などから、歌詞を観客にしっかり届けようとしていることが伝わってくる。だからなのか、オーディエンスもじっくりと日野の歌声に聴き入っていた。続いては、日野にとっての最初のオリジナル曲だという「Diary」。「苦しい時に作った曲で、最初の曲にしてはすごくサッドな曲なんですけど、“この曲をみんなに歌わなきゃ”と思って、また走り出しました。そして今ここにいます」と真摯に言葉を伝えながら、ステージから見える景色を目に焼きつけるように、じっくりと客席を見渡しながら歌っていった。ドラムに合わせてハンドクラップが鳴り始めると、「I NEED YOU」(ジョン・バティステ)を歌唱。ジャジーなグルーヴが広がると、観客も自然と身体を揺らし、クラップをしながら笑顔になっていった。
そんな様子を見て、「楽しかったね」と満足そうな日野。「楽しい時間はあっという間に終わります。良質な音楽になればなるほど、あっという間に終わっちゃうんですね」という言葉に、「えー」と名残惜しそうな観客の声が返っていく。それを受けて、「みんなの愛を受け取りました。お返しをしなきゃということで、最後、ここにいるみんなに歌います」と、祈るようなポーズからラストナンバーの「Living Love」へ。会場全体がハッピーなムードに包まれたところで、日野はステージを後にした。
アンコールでは、グッズ紹介と次のライブの告知、そして10月25日にディナーショーを行うことを発表。トークの時間をたっぷりと楽しんだ後は、「Soft For You」を観客のコーラスも交えながら、寄り添うように歌っていく。途中、観客と目を合わせて〈「今日も、お疲れ様/偉いね、いつも」〉と語りかけたり、鼻歌を一緒に歌ったり、日野自身もリラックスしながらステージを楽しんでいった。ラストは再び「New Day, New Me」。この日一番と言っても過言ではない盛り上がりを見せて、ライブは幕を下ろした。
圧巻のソウルフルな歌唱力はもちろん、その場の空気を自在に操りながら観客を巻き込む力こそが、日野の真骨頂なのだろう。ジャズクラブやニューヨークのハーレムで磨き上げた経験は、オリジナル楽曲だけでなくカバーソングにも息づき、どんな楽曲も“日野健太の歌”へと昇華してしまう。だからこそ、この迫力溢れるステージをもっと多くの人に体感してほしい。そんな思いを抱かせる一夜だった。