ALAN SHIRAHAMA、ポップスとダンスミュージックの架け橋へ 移籍第1弾「Not Enough (feat. Olivia Marsh)」で踏み出す新境地

 ALAN SHIRAHAMAが、ワーナーミュージック・ジャパン移籍後初となるシングル「Not Enough (feat. Olivia Marsh)」をリリースした。アマピアノを取り入れたサウンドに、繊細で表現力豊かなオリヴィア・マーシュのボーカルを重ねた本作は、ポップスとダンスミュージックが見事に交差した一曲となっている。

 今回リアルサウンドでは、ALAN SHIRAHAMAにインタビュー。移籍に込めた狙いをはじめ、新曲の制作秘話や世界基準のプロデューサーとの制作で得た学び、AIを取り入れた音楽制作論、日本のクラブシーンへの思い、そしてGENERATIONSの今後まで、たっぷりと話を聞いた。(編集部)

東京を拠点にダンスミュージックで戦うため、新たなステップへ

ーーALAN SHIRAHAMAとしてのワーナーミュージック・ジャパン移籍が今年6月に発表されました。これまでKSHMRが主宰するDharma Worldwideや、マーティン・ギャリックス主宰のSTMPD RCRDSといったダンスミュージックの人気レーベルからもリリースされてきましたが、DJ/プロデューサー/アーティストとしてメジャーレーベルに軸を置くというこの選択は、亜嵐さんのキャリアの中でどんな意味を持つのでしょうか?

ALAN SHIRAHAMA:世界的に見るとダンスミュージックシーンは大きいんですけど、日本だとフェスもまだ数えられるぐらいしかない。だからこそ、東京を拠点にダンスミュージックで戦うには、ポップスとダンスミュージックの交わりというものを利用していく。それをひとつの手段として考えていたんです。そんな時にワーナーさんからお話をいただいたことで、タイミングがガチッと合ったという感じでしたね。

 やっぱり海外レーベルからダンスミュージックをリリースしても、広がりにはちょっと限界があるというか。大物のプロデューサーとDJがコラボするような話だったら別かもしれないんですけど、あくまで僕は拠点を東京にしたいので。それこそカルヴィン・ハリスやマシュメロも、ポップスとダンスミュージックの交わりの中で上がってきたアーティストですし、僕自身もGENERATIONSのメンバーとしても活動しているから、そもそもポップスが主軸なんですよね。そう考えるとすごく良い流れなんじゃないかなって思っています。

ーー実際、これまでにダンスミュージックとポップスを繋げていかないといけないという感覚はDJの現場でも感じることはあったのでしょうか?

ALAN SHIRAHAMA:ありましたね。DJ活動を再開した3年前は「いや、ボーカルなしのインストでいけるでしょ」と思っていたんですけど、やっぱりちょっと難しいところがあって。どれだけコアなベースハウスやダブステップファンに刺さる曲をプレイしても、結局ボーカルを入れないとフロア全体で盛り上がり切らない。そこに難しさがあると感じています。

「僕ひとりでは絶対に完成しなかった」ーー世界基準の制作で得た刺激

ーー移籍第一弾となる新曲「Not Enough (feat. Olivia Marsh)」がリリースされましたが、このプロジェクトがスタートしたきっかけを教えてください。

ALAN SHIRAHAMA:ワーナーさんから「CJというプロデューサーが日本に来るので、一緒にスタジオに入ってみないか」というお声がけをいただいたのがきっかけです。そこからスタジオに入って、その日中にデモができた感じでしたね。

ーーボーカリストとして、オリヴィア・マーシュさんが客演で参加されていますが、オリヴィアさん参加の経緯についても教えてもらえますか?

ALAN SHIRAHAMA:オリヴィアさんはワーナー・ミュージック・コリアに所属していて、そのつながりでボーカリスト候補としてリストアップしてもらったんです。いろいろ曲を聴いていく中で、声がすごく良くて曲調にも合うということで参加をお願いしたという流れですね。

 実は今までは「DJの知り合いにボーカルをやっている子がいる」みたいなツテはあったんですけど、ちゃんと前線で活躍しているボーカリストを探すという発想はあまりありませんでした。でも、やっぱり大手レーベルに移籍したからこそ、こういうこともできるというか。それがありがたいし、グローバル展開しているメジャーレーベルの強みは、まさにそういうところだよなと思いますね。

ーー新曲はアマピアノを取り入れたサウンドが特徴的です。今回アマピアノにアプローチした理由を教えてください。

ALAN SHIRAHAMA:ワーナーさんとの会議の中で、ラジオやプレイリストに入った時に聴きやすい曲がいいんじゃないか、という話になったんです。最近はアフロハウスがトレンドになっていて、USチャートにも入ってきたりしていますし、アマピアノの代表的なアーティストであるタイラの曲も聴いていて、アマピアノやアフロハウスをやってみたいと思っていたんです。

 実は去年GENERATIONSとDa-iCEでコラボした「Grounds」という曲のトラックを僕が作ったんですけど、その時にアフロハウスの要素を入れたパーカッシブな4つ打ち曲に挑戦しました。その時はもっとボーイズグループ寄りに作りましたが、もっとガチなやつもやってみたいという思いもありました。

GENERATIONS × Da-iCE / Grounds (Performance Video)

ーーこれまでベースハウスやドラムンベース、ダブステップなどベースミュージック系の楽曲もリリースされてきましたが、そういった楽曲とはまた違う重低音の要素を持つ、ログドラムに代表されるアマピアノサウンドを表現する上で工夫したポイントを教えてください。

ALAN SHIRAHAMA:今回は、CJさんが僕の手札にないものを結構出してくれました。それがコライトする一番のメリットだなって思いましたね。僕はひとりでも曲を作りますし、最近はいろんなセッションもするんですけど、やっぱり自分にはない手法や手段をその場で知れるというか。それがすごく勉強になるんです。今回の曲は、僕ひとりでは絶対に完成しなかった楽曲だと思いますね。

ーー実際の作業はどんな感じで進んでいったんですか?

ALAN SHIRAHAMA:CJさんがその場でバーッと打ち込んでくれて、僕がアイデアを出す。その作業スピードがめちゃくちゃ早くて、「世界のトッププロデューサーってこんなに早く作るんだ」みたいな感じで、結構びっくりでしたね。今までGENERATIONSの曲などポップスを作る時は、友達のプロデューサーとかと遊びながらマイペースに作る感覚があって(笑)。でも、CJさんはバーッと急に打ち込み始めて、僕が「パーカッション入れたいんだよね」と素材を投げたら、すぐに入れてくれて、即興でチョップしてうまく隙間を埋めていくんですよ。

ーーCJさんとの作業の中で特に勉強になったところはありますか?

ALAN SHIRAHAMA:キックですね。ダンスミュージックでは、やっぱりキックが命みたいなところがあるんですけど、その鳴らし方がすごかった。聴いてわかると思うんですけど、キックがちょっと音割れしているサウンドなんです。その作り方が、僕の概念にはあまりなかったというか。

 まずキックをコンプレッションとかリミッターで思いっきり潰して、それをまた大きくする、みたいな。だから結構潰れて音割れしているように聞こえるんですけど、その後の加工、エフェクトのかけ方がやっぱりすごくて。音作りの世界の広さを感じました。あと、僕が「こういうのが好きです」と話した上での制作だったので、ベースミュージックあがりのDJがプロデュースする楽曲に合わせて「こういうキックにしてくれたのかな」と思いましたね。

ーーメロディを書くときは、どんなやり取りをしていたのですか?

ALAN SHIRAHAMA:CJさんが鼻歌で歌っているものを、僕が口ずさんで、「これをもうちょっと、ここで展開つけたいです」みたいなことをやって作っていた感じですね。

 あと、制作中はメロディもどんどん提案してくれましたし、作り方もAメロ、Bメロ、サビというふうにパートごとに作るというよりは、トラックがある程度ループとしてできたら、それをずっと繰り返し流しながら歌のフレーズを作っていく。いいところがあったらそこだけ切り抜いて、また同じループでいろんなメロディを試して、それをあとでガッチャンコする、みたいな感じでしたね。

ーーオリヴィアさんのボーカルディレクションや、トラック側で歌のニュアンスを立たせるボーカル処理について、制作中にうまくいったことや苦労したことなど、印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

ALAN SHIRAHAMA:ボーカルに関しては、オリヴィアさんに「自由に書いて、自由に歌ってください」という感じでお願いしました。そうしたら、2番のメロディがまるっきり変わって届いたんですけど、逆にいいものになっていてありがたかったです(笑)。あと、最初にボーカルトラックが届いた時に、オリヴィアさん独特のコーラスの積み方というか、その厚みにすごく驚きました。それを含めて、本当に自分の声をちゃんと楽器として使っている人だなという印象があります。ただ、リモートでの作業だったので、ボーカルのやりとりは何度も往復することになり、かなり苦労しました。

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