【つば男 特別対談】チーフマネージャー 堀切裕真×TAKA(CUBERS) スローガンの真意、見つめる今と描く未来
つば男がスローガンを掲げた理由
ーー先ほど堀切さんがおっしゃった、若い年齢でデビューさせて、成長を見せていくという方針についてはどのように感じていますか?
TAKA:堀切さんの考えに賛同しています。エンタメに正解ってないじゃないですか。そのうえで“未完成”ってすごく価値のあるものだと考えていて。未完成ということ自体がエンタメとして刺さるケースがあるんですよね。あとは、グループとして活動していくなかで、「僕たちはあと歌だけうまくなれば、結果が出るんだ」と思ってやっていたとして、歌がうまくなったからといって結果が出ないこともある。そうすると「僕たちには歌以外にも何か必要なピースがあるのでは」と気づくことができる。未完成であることには、結果を出すためのヒントが含まれていますし、そうした姿こそが応援したくなる要素のひとつでもあると考えています。
ーー「未完成な部分があるから成長できる」という、メンバーの視点はやはり演者だったTAKAさんならではですね。
TAKA:何より僕らがいちばん未完成でしたからね(笑)。最初なんて、よくステージに立てたなっていう状態でしたから。今の子たちは成長スピードも早いし、本当に応援のしがいがあるんじゃないかなと思います。
ーー「今の子たちは成長スピードが早い」という話がありましたが、しっかり成長させていくために工夫していることや用意している環境などがあれば教えてください。
堀切:それこそTAKAの存在ですね。TAKAはどこかのグループにベタ付きしているわけではないので、1カ月ぶりに現場を見に行くということも少なくありません。演出家やマネージャーは毎日見ているから、かえって成長があまり実感できなかったりする。TAKAや僕のように、ひさしぶりに見にいくスタッフがいることで「めっちゃ良くなってるよ」とか、逆に「前回の方がよかったかな」とか客観視ができるんですよね。ベタ付きのスタッフと、ときどき見にいくスタッフ、この両軸があることで成長を促しやすくなっているのかなと思います。
ーー成長についてお話を伺いましたが、今年6月に、つばさ男子プロダクションとして“成長”“渋谷”“音楽”を軸にした「渋谷から音楽を翼に羽ばたく、成長男子プロジェクト」というスローガンを掲げられました。このスローガンを発表した理由からあらためて教えてください。
堀切:年末年始に来期のことを考えていたときに、「つば男って何を目指していたんだっけ?」とふと立ち返ったんです。これまで、自分たちからは掲げていなかったけど、SNSで見かけていたのは「つば男ってなに?」みたいな投稿にファンの方がリプライで「9ちゃん(末吉9太郎)と『チグハグ』(THE SUPER FRUIT)の事務所だよ」と説明してくれていたんですね。そのあとも、SNSでのバズやヒットが続いていたら「とにかくSNSでバズを起こし続ける事務所」として打ち出せたんでしょうけど、再現性もないし、そんなうまくいくわけはない。だったらあらためてちゃんと道筋を立てて、「こういうことをやる事務所です」という確固たる地盤を作ろうと思った。それがあれば、もしまたヒットやバズが起きたときに、その曲やそのグループだけじゃなくて、ちゃんとつば男に帰ってきてもらえると考えたんです。
もちろんスローガンを掲げるだけでファンが増えるなんてことは思っていません。だけど、スローガンを提示することで、メンバーも「自分たちの事務所の強みはこれだ」と理解できますし、ファンの方にも、プロデュースする側にも伝わります。これからファンになってくれる方も、ファンになったときに地盤があれば、成長を追えるコンテンツを最新のものから過去のものまで“新規ハイ”の状態で楽しめる。それで「つば男ってこうゆう方針なんだ」と伝わることで、スローガンを掲げないよりは、つば男全体のファンになってくれるかもしれない。そう思ってスローガンを掲げました。
堀切「アイドルって音は二の次なんだな」ーー“音楽”に力を入れた原点
ーー“成長”については先ほど伺いましたので、では“渋谷”について伺います。もちろん「事務所のある街」という意味が大きいとは思いますが、そのほかに渋谷という街に感じていることはありますか?
堀切:今の渋谷の街って、ひとえに“若者の街”と言えないくらいだいぶ多様化していて、いろいろなものが渦巻いていて、新陳代謝が激しい街ですよね。そこに僕も出社しているし、メンバーも通っているということは、必然的にこの渋谷の街や、渋谷に渦巻くものが血となり肉となっている。そういう街から羽ばたいていくというのは面白いんじゃないかなと思ってスローガンにしました。
TAKA:個人的な話ですが、僕が上京して、引っ越し作業を終えて、最初に訪れた場所が渋谷なんですよ。ずっと「行ってみたい」と思っていた場所だったんです。渋谷っていろんなカルチャーやトレンドが集まる場所。そういう街を軸にするのはすごくいいなと思いました。
堀切:渋谷はいろんな街から人が集まってきますが、つば男にもいろんな子がいて。いろんな土地から来ているというのもそうだし、入った経緯もさまざまで。オーディションで入ってくる子もいれば、スカウトで入ってくる子もいるし、ほかの事務所のオーディションや審査に落ちちゃったからうちに入ったという子もいる。そういう、つば男の多様性が渋谷という街の多様性とリンクしているんじゃないかなとも思いました。
ーーそして最後のひとつが“音楽”です。
TAKA:CUBERSが解散してからより強く思ったんですが、グループって解散したら終わっちゃいますが、音楽はずっと残り続けるし、今なお聴いてくださっている方がいて、僕自身その事実に救われている。実際に、僕たちの音楽にも力を入れてくださっていましたし、メンバーも頑張っていましたけど、なおさら力を入れ続けていかないといけないものも音楽なのかなと思っています。
ーーそもそもつば男として、音楽に力を入れているのはどういった思いからなのでしょうか?
堀切:僕はもともとうちの事務所の宣伝部にいたので、自分が男性アイドルをプロデュースすることになるなんて思ってもいなかったんですね。だから最初にCUBERSを手がけることになったときに、市場を分析したんですが、正直に思ったのは「アイドルって音は二の次なんだな」と感じました。乱暴な言い方をすると「かわいい子、カッコいい子に歌を歌わせとけばいい」と考えているように見えるクオリティや熱量の作品が多いと感じたんです。ただ、僕自身がもともと音楽をやっていた人間なので、自分が手がけるんだったら、アイドルでもちゃんと魂を込めて、一音一音に思いを込めて作って、それがお客さんにも届くようにしたいと思いました。そこで自分の幼少期を振り返ってみると、SMAPやV6の楽曲にはそういう熱量を幼いながらにも感じていたなと気づいて、「それを今の時代にやろう」と思ったのが原点です。
ーーそのうえで、楽曲制作においていちばんこだわっていることや大切にしていることは何ですか?
堀切:自分が関わっている曲に関しては「自分が妥協しないこと」。極端な例ですが、会議でふたつの楽曲に対して「どちらの楽曲が良いか」を議論した際に、8対2だったとしても、2の側に「これは絶対に売れる」と強く主張する人がいて、8の側が「どちらかといえばこちらか」という程度の温度感であれば、2を選ぶ、という感じです。今はグループが増えて僕以外のディレクターやA&Rもいるのですが、その点だけはこだわってほしいと伝えています。