売れる曲か、かっこいい曲かの二択で戦うーーBlue Mashが「若者白書」で証明する“青春”を歌い続ける覚悟

形はどうあれ、“青春”を歌うバンドでありたい

――この曲でも“青春”というのが大きなテーマとして出てくるじゃないですか。それはBlue Mashがずっと歌ってきているものでもあるけど、その捉え方も少しずつ変わってきているんじゃないですか?

優斗:そうですね。ちょっとずつ変わってきてはいる。18歳から22歳ぐらいまで、“青春”って言葉を使うのが恥ずかしかった時期もあったんです。でも正直、今は「俺が歌わなきゃ誰が歌う」っていう気持ちになっていて。形はどうあれ、青春を歌うバンドっていうのが軸であるべきやなって。だから『泣くな、青春』っていうアルバムを出したあとにまた青春の曲を書くっていうのは、そこに対する自分の意思でもあると思います。

――それこそ「セブンティーン」とかは「青春は終わるものだ」っていう感覚があった気がするんですよ。

優斗:完全にそうでした。

――でも、この曲は「続いていくんだ」っていうことを歌っている気がするんですよね。

優斗:確かに。「セブンティーン」のときは「青春なんて自分の力で終わらせてやるんだ」ぐらいの感じだったと思う。あの頃の自分に憧れているところもあるんですけどね。戻れるなら戻りたいですけど。

――でも、どこかで引き受けたわけですよね。「青春を歌っていくんだ」っていうことを。

優斗:それは絶対的に軸にしようって思うようになりましたね。でも、ただ青春が続くというよりは、夢を見てる限りずっと続くけど、その夢を見てないやつの青春なんか終わるんだぜっていうことなんですよ。

――〈大人になることが諦めることならば/大人になることを諦めてしまえばいい〉っていうのは、まさにそういうことですよね。

優斗:マジでそう、このフレーズは最初の方からありました。この曲の中心になった言葉かなと思いますね。

――自分自身でも大人になってしまったなって感じることはある?

優斗:ありますよ。毎日あります。毎日あるんですけど……でも今が一番子どもなわけじゃないですか、これからの人生の中では。そういう気持ちで生きてます。

――その「大人になっちまったな」って気持ちを振り払っていく感じというか、そこに抗っていく感じがBlue Mashの真ん中にあるものなんだと思うんです。だからこの曲、「若者白書」っていうタイトルになったんだと思うんですよね。“白書”ってことは全体を見渡して「若者ってこうだよね」ということだと思うんだけど、それって若者の視点ではないじゃないですか。

優斗:確かに。

――ちょっと大人からの目線だなって思うんですよ。大人になった自分もちゃんと認めながら、でも「青春なんだよ」って宣言している。その視点は『泣くな、青春』のときとも違う気がするんですよね。

優斗:そうですね。結構この曲は「泣くな東京」の反省を生かしている部分があって。僕、「泣くな東京」が書けたとき、名曲やと思って家中走り回ったんですよ。でもリリースしてみて「こういうことじゃないな」って思うことがあって。その反省を生かしました。

泣くな東京 - Blue Mash

――「こういうことじゃない」というのは、思い描いたものと違ったなってこと?

優斗:リリースしてから、「こうしておけばよかった」と思うことがあって。アレンジはもっとシンプルでよかったし、テンポチェンジして速くする必要があったのか、速くしたいんだったらもともとそれでよかったのではないか、とか。歌詞もすごく投げやりで、ライブで歌ったら涙が出そうになるぐらいに生々しすぎて、自分にしか刺さってない感覚があった。本当に伝えたいことが伝わってないんじゃないかなって思ったんです。だからちょっとチューニングしました、これは。

――いつもそんな感じなんですか?

優斗:そうですね、出した瞬間になります(笑)。でも、この「若者白書」はまだそうなってないんです。今ライブでやるのがすごく楽しいです。僕、新曲をライブでやらない癖があるんですよ。ライブでやる曲とサブスクで伸びたらいい曲を分けてる節があって。ただ、この曲に関してはマジで今一番ライブでやりたい曲です。あと、スタジオに入ってセッティングして、誰かひとりは二日酔いで、ひとりはめっちゃタバコ吸いに行きたくて、でもとりあえず1曲合わせてから始めるかみたいなときに何の曲で合わせるかって、めっちゃ大事やと思うんです。それは僕が決めるんですけど、それって今“自分が歌いたい歌”で、自分の中で“一番いい”と思ってる曲をやりたいはずなんですよ。そうじゃないとテンションが上がらないから。それが今この曲なんです。

――なるほど。

優斗:居酒屋行って、ギターが置いてあって、歌うならこの曲なんですよ。っていう曲っていいなと思って。そういう気持ちで最近ライブやってます。

――そういう曲って久しぶり?

優斗:久しぶりかもしれないです。「セブンティーン」以来かな。

――それぐらい自分でも愛せるようなものになっているというのは、どういう要因によるものだと思いますか?

優斗:結構アンサンブルが気に入ってて。後ろで鳴ってる楽器がめちゃくちゃいいんですよ。リフとドラムと、僕の楽器とか歌は自分で考えたんですけど、それが結構気に入ってます。ドラムが最高なビートで。意外と変なところにキック入ったりとか、ゴーストノートが入ったりとか、スネアの刻み方がずっと8分なわけじゃないとか。テンポは遅いんだけれども進んでいく感じを表現できてる。

――そこのアレンジというか、アンサンブルは確かにめちゃくちゃ手が込んでるなと思ったんです。パッと聴いた感じ、めちゃくちゃシンプルだし、「せーの」でやってる感じじゃないですか。でも実はポップス然とした構造がある。なんか「ああ、こいつら売れようとしてるな」ってちゃんと思わせてくれるっていう。

優斗:そりゃそうでしょう。売れたいに決まってる。

――それをちゃんと形で表現しているし、かつロックバンドとしてのプライドというか、見せ方みたいなところは崩さない。

優斗:そこは大前提。そもそも、歌いたい曲を歌ってるだけなんでっていう前提だと思うんです、ロックンロールって。だから、そこは今回めっちゃ大事にしました。そもそも俺が歌いたいことってこれなんだと。だから「若者白書」っていうワードになってる。押し付けなんですよ、これは。「俺が若者って言ったら、これが若者です」っていうことなんで。最後のサビはそういう感じで書きました。

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