「とにかくこのチャンスを逃したくない」――デビューから約500日間の葛藤と挑戦 Rain Tree、真のスタートを語る

Rain Tree、約500日間の葛藤と挑戦

理想と現実のギャップを目の当たりにして苦しくなることもありました(橋本)

――リアルサウンドでのRain Treeのインタビューは、2024年11月のデビュー発表記者会見以来(※1)。2025年1月にデジタルシングル『I L U』でメジャーデビューを果たし、そこから1年半が経ちましたが、皆さんにとってここまでは順調でしたか? それとも、思い通りにいっていないと感じますか?

綾瀬ことり(以下、綾瀬):デビューしたての頃はまだ知られていない存在にもかかわらず、イベントにたくさんの方が足を運んでくださって嬉しかったんですけど、2ndデジタルシングル、3rdデジタルシングルとリリースを重ねるにつれて、思うように進まなくなったような気がしていて。人の関心を集められなくなっていった気がして、すごく焦りがあったんです。でも、昨年夏に『Rain Tree 真夏のフリーライブ~君と過ごす初めての夏~』を開催したあたりからまたRain Treeに興味を持ってくださる方がまた増えた印象があるので、山あり谷ありという感じかもしれません。

新野楓果(以下、新野):うまくいかないことも多かったけど、そのぶん達成できたこととか成長できた部分もたくさんあったと思っていて。Rain Treeとしてデビューした時はメンバー全員で歌えるものだと思っていたんです。でも、選抜制が導入されたことで2組に分かれてしまって、選抜に選ばれても選ばれなくてもちょっと複雑というか、みんなで素直に喜べないもどかしい気持ちがありました。そこからこの1年半のあいだに、たとえば「このイベントでは何人集めたい」とか自分たちで目標を立てることが増えていって。ありがたいことに今は毎回達成できている状況で、こうしてRain Treeが徐々に大きくなり始めていることをひしひしと感じられているところです。

鈴野みお(以下、鈴野):私はうまくいったこと、思ったようにいかないことが半々かな。まず、1stデジタルシングルをメンバー全員で歌えなかったことがまず衝撃でしたし、表題曲とカップリング曲とで2組に分かれちゃったらメンバーの仲が悪くなっちゃうんじゃないか、お互いをバチバチに意識して悲しい方向に進んでしまうんじゃないかと思っていたんですけど、結果そんなことはなく、お互いに支え合ってここまでくることができました。

橋本真希(以下、橋本):私たちが受けたオーディション自体が、秋元康さんがプロデュースする新しいアイドルグループを作るためのもので。私自身、ずっと乃木坂46さんや櫻坂46さんといった第一線で活躍されているアイドルの皆さんに憧れてこのオーディションを受けたので、一度オーディション落ちてしまってデビューできないままFINALISTとして活動していくなかで、理想と現実のギャップを目の当たりにして苦しくなることもありました。でも、ありがたいことにRain Treeとしてデビューできたわけですが、そこからさらに「私たちを知っていただくことってこんなにも難しいのか」っていう新しい壁にもぶつかって。デビューしてから1年半が経っても、Rain Treeというグループの名前自体がまだまだ世間には知られていないんだと実感することも多いです。でも、昨年の夏あたりからフリーライブをたくさん行ったりSNSを積極的に活用するようになったこともあってか、そのあとの3rdデジタルシングル『好きだよとどっちが先に言うのか?』をきっかけに少しずつ名前を知ってもらえるようになってきた感覚があります。とはいえ、自分たちと同じタイミング、もしくはあとからデビューしたアイドルグループさんと比べると、なかなかうまくいかないなと悔しく思うことも多いので、上を目指す気持ちだけは忘れることなく、これまで感じたいろんな悔しさをバネに、自分が理想とする憧れのアイドルの皆さんに近づけるように頑張っていきたいなと思っています。

Rain Tree 綾瀬ことり&鈴野みお(撮影=はぎひさこ)
綾瀬ことり&鈴野みお

――皆さんのなかでは、総じて自分たちはまだまだ知られてないなという思いが強い?

鈴野:はい。「名前だけは知ってるけど、イベントまでは……」みたいな方が多いイメージがあって。特に最近はSNSに力を入れているので、SNSで知ってくださった方にも現場にも足を運んでいただけるように頑張りたいなと思っています。

綾瀬:ファンの方の切り抜き動画を通じて知ってくださる方も多くて。ただ、そのコメント欄で「この子、アイドルなの? 初めて知った!」という声を目にすると、まだまだ知られてないんだなと悔しい気持ちになりますし、そのぶん「もっと頑張らなきゃ!」ってメラメラ燃えたりもします。

新野:最近、自分のなかで「まだまだだな」って思ったのが、先日対バンイベントに16人全員で出させていただいた時のことで。初めて対バンイベントのトリを務めさせてもらって、すごくありがたいし大きいチャンスだなと思ったんですけど、自分が想像していたよりもお客さんが集まっていなかったんです。自分たち主催のイベントにはRain Treeのことが好きな方が集まってくださってるし、観覧無料のイベントだったら通りがかりで気になってきてくださった方は足を止めて観てくださるけど、そういう恵まれた場面と比べてしまったことで、その日は心にズーンときちゃって。自分たちの実力は本当にまだまだだと思ったし、ちょっと会場が遠かったとか天候が悪かったとかそういう事情もあったとはいえ、それでもRain Treeに会いたい、観に行きたいと思ってもらえるようになりたい、そういうグループになりたいなって……本当に悔しかったです。

――では、そういう状況下において皆さんのなかでモチベーションになっているのは、どういったものですか?

橋本:グループ内でも定期的に話し合いの場を設けているんですけど、そういった時に「1年先、2年先、3年先にはどうなっていたいか?」ということを話し合ったりしていて。やっぱりメンバーみんな、アイドルとして活動するからにはもっと売れたいし、「自分たちなら絶対にやれる!」っていう自分を信じる気持ちは持っていると思うので、「じゃあそこに行くためには、ここまでにこれくらい人を集められるようになっていなきゃいけないよね」としっかり目標を掲げて常に活動していくことが、モチベーションに繋がっている気がします。実際、ありがたいことに応援してくださるファンの方もイベントを重ねるにつれて増えている実感もありますし、それによって「もっとできるんじゃないか、もっと上を目指したいな」って気持ちにもなりますし、何より支えてくださるファンの皆さんの存在があるから頑張ろうって思えるので。あとは、自分自身がなりたいアイドル像を体現しているアイドルの皆さんを見ると刺激に繋がるので、日々の活動のなかでのいろんなことの積み重ねがモチベーションになっていると思います。

Rain Tree 橋本真希&新野楓果(撮影=はぎひさこ)
橋本真希&新野楓果

過去の決断、成功への絶対的な祈り……Rain Treeを強くさせるものとは?

――グループとしての共通認識を持つための話し合いって、初期からしていたんですか?

新野:そうですね。FINALISTの時から月に一回くらい、みんなで集まるようにしていて。当時はイベントには出させていただいているけど曲がないという状況だったので、そのイベントでどういうふうに私たちのことを知ってもらおうか、楽しんでもらおうかという話し合いが多かったですし、デビューしてからも「ここからどうなっていくべきか」みたいなことは、相変わらず話しています。

――なるほど。そんな新野さんのモチベーションになっているものは?

新野:私は、過去の自分とか過去の決断かな。真希ちゃんが話したこととも似ているんですけど、デビュー前から応援してくださっているファンの方や家族って、私たちのデビューを信じてずっと応援してくださっていたので、恩返ししたいという気持ちも大きいと思います。あと、私はもともと会社員で、会社を辞めてこのアイドル活動をしているので、その時の覚悟や決断を思い出すと「今はもっと頑張るしかない!」と思えるんです。

鈴野:私はメンバーみんなが同じ方向を向けていることが、今のモチベーションに繋がっているかな。「もうこれでいいじゃん」みたいなことを言うメンバーがひとりもいないので、私もみんなに負けてはいられないという気持ちでいられるのかなと思います。あと、私は中3でオーディションを受けたんですけど、当時だったら「あれもやりたい」「これもやりたい」ともっといろいろ手を伸ばすことができたと思うんですけど、あの時点で一本に絞ったことが間違っていなかったと思ているし、「絶対にこれが正解なんだ」と証明したいという思いもモチベーションになっている気がします。

綾瀬:私もみおちゃんとちょっと似ていて。そもそも私、死ぬほど負けず嫌いなんです(笑)。家庭もそれほど裕福じゃないなかで上京してきて、高校も地元の学校から転校して東京にいるので、「絶対にここで成功させたい」という気持ちが根底にあって。特にこの活動って、頑張れば頑張るほど目に見えて成果が表れることがあるじゃないですか。たとえば、私は歌やダンスも未経験のままこの世界に入ってきましたが、努力すれば努力するほど実力がついていくことがわかりましたし、レコーディングや振り入れも初期と比べてだいぶ速くなったと実感するたびに、そういう結果がモチベーションにもなっている。努力が目に見えるからこそ頑張れるし、そんな自分を応援してくださる方がいるという最高の環境で活動できている。そういったすべてがモチベーションに繋がっているのかなと思います。

Rain Tree 綾瀬ことり&鈴野みお(撮影=はぎひさこ)

――総じて皆さん、ハングリーですよね。そういう精神が今のステージにも表れていて、観る人を惹きつけているんでしょうか。

橋本:そうだといいなあ。それこそ1年目はセレクションという形でステージのパフォーマンスを見られていましたし、そういうパフォーマンスを観て好きになったと言ってくださる方も多いですし。自分たち主催のイベントはもちろんですけど、いろんなアイドルさんとご一緒するイベントでは自分たちのファンの方だけじゃなく、Rain Treeを知らない方にも好きになってもらおうという気持ちで毎回ステージに挑んでいるので、目を合わせることもそうですし、どれだけ自分のパフォーマンスで人を惹きつけられるのか、自分の見え方もすごく研究しています。

新野:FINALIST時代はマイクが全員分ない現場もあったりして、自分たちのオリジナル曲がない状態でステージに立っていたので、今みたいにみんなにマイクがあって、自分たちの曲があって、衣装を着てステージに立てていることが本当にありがたくて。それが当たり前じゃないということをみんなが強く感じているからこそ、一つひとつのステージを大切にしたいですし、その思いがパフォーマンスにも表れているのかな。

鈴野:私はアイドルをやっていていちばん楽しいことが、歌って踊ることなんです。なぜかと言うと、踊っている時にお客さんと目が合うと、お客さんが笑顔になってくれたり嬉しさを行動に表してくれるから。私もそれを見て嬉しくなって、「もっといろんな人に喜んでもらおう!」ってパフォーマンスに力が入るんです。あと、自意識過剰かもしれないですけど、私のパフォーマンスはもう本当に人を明るくさせられると思っていて(笑)。それが本当だと証明するためにいつも頑張っているんですよ。

――いやいや、自意識過剰なんかじゃないと思いますよ。

鈴野:ありがとうございます。「鈴野みおはパフォーマンス」なんです! だから、絶対にパフォーマンスで好きになっていただきたいですし、そこから性格を知って「やっぱり応援するのをやめよう」とならないように内面も磨き上げていきたいですし。そうやって一つひとつの機会を大事にして、ひとりでも多くの方に私を見てもらえるように、自信を持ってステージに臨んでいます。

Rain Tree 橋本真希&新野楓果(撮影=はぎひさこ)

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